八戸工大一のプロ注目195センチ右腕、内沢航大(3年)が木造を3安打1四球13三振で完封し、勝利した。威力を増した140キロ台のストレートを中心に制球も安定。最後の夏初戦で成長ぶりを発揮した。

 195センチの体から迫力あふれる内沢の快投だ。この日の最速は143キロ。4日の練習試合でマークした自己最速145キロの更新はならなかった。だがコンスタントに140キロ台を出し、9回最後の打者にも143キロ。変化球でも三振を取り、投球の幅も広げた。

 ネット裏には内沢を目当てにプロ7球団13人のスカウトが集結。阪神葛西稔スカウトは「長身だし、リリースポイントが安定している点がいい。大きい割には器用さも持っている。ストレートの力が以前より増してきた」と評価し、成長ぶりを認めた。

 春の県大会は準々決勝で八戸学院光星に1-8(8回コールド)で敗れた。先発の内沢は6回を投げ、7安打6失点。その後、シーズンでも走り込みなど体力トレーニングに励んだ。また速球を低めに集める投球練習を続けてきた。「ストレートはシュルシュルと球の回転の音が聞こえるようになった」と内沢は成果を明かした。

 1日6食の食事と練習で体重は90キロ。昨秋に比べて10キロ増えた。まさにチームの大黒柱。この日打線は4得点にとどまったが、7回には内沢自ら中越え適時三塁打を放った。初戦の緊張で「打線の不振は想定内」という長谷川菊雄監督(38)は「内沢がよく粘って投げてくれた。初戦を無失点で勝てたのはチームにとって大きい」とたたえた。

 甲子園のマウンドが目標だが「先を見ず1戦1戦。チームを勝たせるピッチングをしたい」と内沢。もう1つ「150キロを出したい」の目標達成も目指す。【北村宏平】

 ◆内沢航大(うちさわ・こうた)1997年(平9)9月19日、青森県おいらせ町生まれ。木内々小3年から野球を始め、投手。下田中まで軟式。八戸工大一に進み、2年春からエース番号1。同春の県大会準優勝で東北大会出場。同夏は2回戦五所川原農林戦で16奪三振をマークしたが準々決勝敗退。同秋は県3位で東北大会出場。家族は両親、姉。195センチ、90キロ。右投げ左打ち。血液型B。