関東第一が「脱オコエ」の全員野球で、2年ぶり4度目の優勝を飾り、来春センバツ出場を確実にした。楽天ドラフト1位のオコエ瑠偉外野手(3年)が観戦する中、逆転で二松学舎大付に勝利。2点差の8回に追い付き、9回は内野ゴロと、オコエの背番号「8」を受け継いだ「1番中堅」宮本瑛己外野手(2年)の適時内野安打で2点を奪った。東京大会が終了し、来春センバツの「神宮枠」を懸ける明治神宮大会(13日開幕、神宮)「高校の部」の出場校が出そろった。

 泥くさく、たたきつけた打球で勝負の1点をもぎ取った。8回に追い付き、9回は高いバウンドの投ゴロの間に勝ち越し、さらに2死三塁のチャンス。「オコエの後継者」1番宮本が148キロ直球に食らい付く。遊撃前へ強くたたき付け、50メートル走6秒の俊足で猛ダッシュ。間一髪のタイミングで4点目を奪った。

 「練習の成果が出ました。足はオコエさんより下回るけど、少しでも近づきたい」と言った。チーム一の俊足で、オコエと同じ「1番中堅」。昨年の体育祭では、互いにリレーのアンカーとして対決。少しだけ早くバトンを受け「一緒に走って勝ちました」と胸を張る。寮で生活するオコエとは今も練習し「最後は気持ちって言われました」と、闘争心を前面に出した。

 甲子園4強入りした今夏は、2年生はベンチ入り2人だけで、レギュラーは全員3年生。新チームのスタートは8月下旬と遅れ、練習試合初戦は4-9で専大松戸(千葉)に大敗した。そこから毎日、選手だけで約30分のミーティングを行い、反省点を話し合った。

 宮本は「去年より力はないけど、チームワークは今年の方がいいと思います」と言う。8回は公式戦初3番の山室勇輝内野手(2年)が同点適時二塁打を放ち、1点差に迫られた9回は、1死満塁のピンチを併殺打で切り抜けた。米沢貴光監督(40)は「うちは出し尽くしました。よく我慢したチーム」とたたえた。スーパースターはいなくても、全員野球で秋の東京の頂点に立った。【前田祐輔】

 関東第一・オコエ瑠偉外野手(楽天1位の先輩は後輩の優勝を見届け)「すごい。この代は打てなくて、走りと守りだけだと思っていたら全部がいい感じでした。自分たちの代に比べたらおとなしいですが、試合になったら目つきが変わっていました。センバツに出られたら優勝目指して頑張ってほしい。自分も負けていられません」