十勝地区でプロ注目の150キロ左腕、江陵・古谷優人(3年)が打撃で魅せた。大樹との1回戦で2点本塁打を放つなど、サイクル安打に王手をかける3安打2打点。10-0の6回コールド発進に貢献した。

 江陵・古谷のバットから次々に快音が響いた。1回先頭で右二塁打を放ち出塁。先制のホームを踏むと止まらない。2回無死二塁。初球のカーブを「打った瞬間入ったなと思った」という手応え通り、右翼芝生席に引っ張り2ランだ。5回には単打で、あと三塁打が出ればサイクル安打達成となる、両チーム最多の3安打。登板機会がなくても、輝きを放っていた。

 北海道NO・1投手となる期待を背負ってのリードオフマン。初戦で敗退した春の地区予選後、打順は5番から1番になった。谷本献悟監督(35)は「背番号も1ですし、道内で1番の投手を目指せということで1づくしで」と願望を込めたが、練習試合で本塁打を量産する好調な打撃力を買い、託した。エースで1番。出塁、走塁面など、任される仕事が増えた。慌ただしい投打「二刀流」にも、古谷は「野球は試合に出てなんぼ。疲れるというより楽しい。相手の嫌がることをしようと思う」と、足でもかき回す気満々だ。

 最後の夏、エネルギーがみなぎる。この日は工藤遼太朗投手(2年)が先発。古谷は本来出場する予定はなかったが、志願して左翼手として先発した。3回までの9つのアウト全て三振で取る後輩の気合の投球を、外野から見守った。頼もしさを感じると同時に、投手魂にも火が付いた。

 次戦は13年夏甲子園出場の帯広大谷戦。「打撃がいいけど、抑えたい。必ず(北大会決勝までの)7回勝って、監督さんを男にしたい」と、甲子園出場を誓う。春から最速は2キロアップし、150キロに乗った。成長した姿を、今度はマウンドで披露する。【保坂果那】