第98回全国高校野球選手権大阪大会が今日9日、開幕する。8日は京セラドーム大阪で開会式リハーサルが行われ、177校の主将が参加した。今夏を最後に休部するPL学園の初戦は15日で、2回戦の東大阪大柏原戦(花園)。試合出場可能な部員11人の中で外野手の1人が右肩負傷で代打専任になる可能性が高いが、梅田翔大主将(3年)は「甲子園に行く目標は変わりません」と語った。

 忘れられない大会になる。歴代主将の手の中で夏の大阪17度の優勝を見てきた校旗。休部前最後の旗手を務める梅田主将は「先輩たちの偉業があったからこそ、今のぼくたちがある」と、全国最強を誇った歴史を支えにする。

 13年3月初旬に発覚した部内暴力から、坂道を転がり落ちるように野球部は休部への道をたどった。野球経験のある監督は着任せず、精鋭の集まりだった14年夏も大阪大会決勝で大阪桐蔭に完敗。その秋に、学校は翌春以降の新入部員の募集停止を決めた。最強時代とはかけ離れた環境を知りながら、今の3年は入学を希望。懸命に練習を続けてきた。この日も梅田主将は「PL学園を選んでよかったと思う気持ちに変わりはありません」と言い切った。

 プラカード係を務める土井塁人記録員(3年)は、長期入院による留年で試合には出られない。野球経験のない川上祐一監督(41)の参謀役で、後輩11人を見てきた。「入学時に比べてバットを強く振れるようになったし、走れるようになった」と成長を認める。

 95年の主将だった阪神福留の日米2000安打も勇気をくれた。「1球への思い、1球への集中力。1人1人の気持ちが大事」と梅田主将。不可能を可能にしてきた「逆転のPL」。部員12人が本気で、8月21日の甲子園大会決勝を目指す。【堀まどか】