血染めのソックスも、剛腕の証明だ。2点を守る終盤。履正社(大阪)寺島成輝投手(3年)は投げるたびに「ウリャッ!」と声を上げた。左足内側、親指の付け根部分はスパイクと皮膚がこすれ、ソックスに血がにじんだ。どちらもストレートが走っているときの、好調のシグナル。9回1死一塁から相手3番に投じた130球目は、自己最速を1キロ更新する149キロをマークした。

 「10年に1人の投手だね」。巨人益田スカウトがつぶやく。西武渡辺SDら編成トップを含む日米12球団32人が、うなった。圧倒的な高校初完封で、西の看板の力を見せた。

 この日の大体大浪商戦はヤマだった。相手エースはプロ注目の西田光汰(3年)。決戦を前に寺島は「1点取って下さい」と望んだ。「自分は完封します」と宣言した。2回は3者連続空振り三振。6回の先頭打者は140キロカットボールで見逃し三振。味方が2点どまりでも、超高校級の投球で対抗。9回2死二、三塁も抑えきった。

 「最高のボールかどうかはわからないけど、一番気持ちを込めました」と139球に胸を張った。6年前、山田哲人(ヤクルト)が決勝で破った強敵を倒した。自身初の甲子園へ残り3勝に迫った。【堀まどか】