常葉学園菊川が12-0で袋井を下し、ノーシードから3年ぶり5度目の夏の甲子園出場を決めた。プロ注目の栗原健外野手(3年)が1回裏に放った初球先頭打者本塁打を契機に、打ちまくって毎回の19安打。投げてはエース落合竜杜(3年)が準決勝に続く2試合連続完封を飾った。7試合73得点の強力打線とエースの安定感を武器に、聖地でも頂点を目指す。

 狙い打ちだった。1番の栗原は、袋井エース稲垣淳之介(3年)の得意球、スローカーブを待っていた。1回裏無死初球から来た。迷わずフルスイング。打球は高々と上がり右翼席で弾んだ。今大会3本目で高校通算48号となる先制弾。左腕を突き上げ、ドヤ顔でダイヤモンドを回った。

 栗原 初球から強く行こうと思っていました。不安もありましたが、昨日の1発が自信になっていました。ベンチのみんなも笑顔でうれしかったです。

 前日26日の準決勝で常葉学園橘の谷脇亮介投手(3年)から本塁打。2日連続の「エース撃ち」に会心の笑顔を見せた。

 この1発が打線に火を付け、初回に4点を重ねた。3回には小技もさえた。稲垣がスローボールを多用することを逆手に、2盗塁を絡め2点を追加。稲垣をKOした後も攻撃の手を緩めず、毎回の19安打12得点で袋井を圧倒した。

 今大会は7戦73得点、チーム打率4割1分と打線が力を発揮したが、きっかけは春季県大会での敗戦だった。常葉学園橘に6-7でサヨナラ負け。得点こそ重ねたが谷脇の高めの直球に手を出し、空振りと凡打の山を築いたことを猛省。赤井啓輔主将(3年)は「ミーティングで、高めを捨ててベルトより下をライナーで強く打つことを徹底しました」と話す。投手力が向上する夏をにらみ、全員にそれを意識付けた。4安打2打点と活躍した4番米沢利紀(3年)も「チームのため、どんなに汚いかたちでもヒットを打って打点を稼ぐつもりでした。今は誰かが打てなくて、負けることはありません」と胸を張った。

 森下知幸監督(55)は早くも甲子園を見据えた。「4番の米沢、3番の鈴木(蓮夢=3年)も成長し、栗原を1番で使える。しっかり休養して、良い状態で臨みたいですね」。目標を問われた栗原は「全国制覇です!」と迷いなく言い切った。大台の50号を目指し、聖地でもチームを頂点に導く決意だ。【鈴木正章】

 ◆常葉学園菊川 1972年(昭47)創立の私立校。野球部は83年創部。生徒数990人(女子598人)。甲子園出場は春4度、夏は5度目。07年センバツ優勝、08年夏は準優勝。OBにDeNA田中健二朗ら。所在地は菊川市半済1550。土屋義人校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦10-0磐田北

2回戦8-4掛川工

3回戦12-2浜松修学舎

4回戦14-0浜松西

準々決勝5-2東海大静岡翔洋

準決勝12-0常葉学園橘

決勝12-0袋井