激戦神奈川の決勝は横浜対慶応に決まった! 第98回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)神奈川大会準決勝で、横浜が8-4で桐光学園に快勝し、2年連続で決勝進出を果たした。福永奨捕手(2年)のソロと村田雄大外野手(3年)の2ランで、今大会6戦でチーム通算12本塁打とし、神奈川県新記録を打ち立てた。投げてはドラフト上位候補の藤平尚真投手(3年)が、8回からリリーフして自己最速タイの152キロをマーク。3年ぶりの夏の甲子園へ盤石の布陣で挑む。

 苦しい時、だれかがカバーする。追う展開になっても焦らない。それが、今年のYOKOHAMAだ。2-0の1回裏、桐光学園の4番中川颯投手(3年)に逆転3ランを打たれた。すると2回に、先頭の福永がスライダーを引っ張り、公式戦初アーチをたたき込んだ。「たまには僕だって! という気持ちでした」とすぐさま同点とした。

 6回2死一塁では3番村田が、3-0から逆方向の左翼席へ、今大会3本目となる通算12号2ランを放った。「みんなで本塁打記録を更新しようと話していたので、ちょっと狙っていました」とニヤリ。アンダースローの中川対策として、昨年卒業した下手投げのOBが前日も打撃投手を務めた。福永、村田は昨冬に社会人野球の強豪、東芝の練習に参加。きつい練習に耐えた2人の1発で、今大会のチーム通算本塁打を12に伸ばし、神奈川県新記録を打ち立てた。

 3回戦(対松陽)で横浜スタジアムの電光掲示板直撃弾を放った万波中正外野手(1年)をはじめ、7人で12本塁打を量産した。チームはこの冬、木製バットで芯を食うための打撃練習を積んだ。OBのDeNA筒香から、チームに寄贈された木製バットで練習する村田は「金属は魔法のバット」と言うほど、飛距離が伸びた。チームはこの冬からトレーナーを呼び体幹を鍛え直した。タイヤを押し、鉄棒にぶら下がって筋力をつけた。ド派手なアーチの陰には、地道なトレーニングの成果があった。

 今夏ケガから復帰した4番の増田珠外野手(2年)は同点の3回、バスターエンドランを決め流れを引き戻した。渡辺翔遊撃手(同)とともに、好守でもり立てた。平田徹監督(33)は「大会を通じて非常によく守っています。明日(31日)は選手を信じて送り出すことがすべて。気持ちを落ち着け、地に足をつけてやっていきます」と言った。それぞれが役割を果たし、3年ぶりの夏の甲子園へ機は熟した。【和田美保】