第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕・甲子園球場)に出場する札幌第一は14日、札幌・日本ハム室内練習場で練習を行った。昨年のセンバツで大会直前にメンバーから外れたムードメーカーの岡優太一塁手(2年)が打撃好調をアピール。中学時代にNOMOJAPANの米国遠征を経験した「世界を知る男」が、盛り上げ役を買って出た。チームはこの日、甲子園前の練習試合日程を発表。智弁和歌山(和歌山)など5チームと計9試合を消化し、本番に臨む。

 練習中、菊池雄人監督(44)の号令がかかると、岡は食い入るように話を聞き、手のひらサイズのメモ帳に書き込んだ。「小さいことをしっかりやってきたのが、(レギュラーとして)評価されていると思う。ただ、今日は最低限ランナーを進めなきゃいけない場面でフライを打ち上げた。もっと集中しないと」と戒めた。同監督は「岡の打撃の調子が上がってきているのは大きい」と、うれしそうに目を細めた。

 昨年のセンバツは1年生で1次登録メンバーに選ばれたが、直前の遠征中に風邪で5日間寝込み、最終メンバーから漏れた。甲子園を目前のUターンに泣いた。朝は必ずヨーグルト飲料を飲むなど体調管理を徹底。昨秋全道大会での背番号「13」から、明治神宮大会では「3」を背負った。自覚十分に「今年は絶対に風邪は引かない」と誓う。

 晴れ舞台に友が待つ。昨秋の全道大会優勝後、大阪桐蔭の井上大輔投手(2年)からメッセージが届いた。中学3年時に選出された「NOMOJAPAN」で一緒にロサンゼルス遠征を経験。強豪校でベンチ入りしている左腕と「来年、甲子園で会おう」と短いやりとりを交わした。「外野から一直線に返球できるすごい肩を持つ選手。打ってみたい」と心待ちする。

 チームのほとんどが「岡がムードメーカー」と口をそろえる。レギュラーではただ1人、文理コース所属で「夢は公認会計士」という。午後7時までの練習を終えて自宅に戻った後、午後9時から11時半まで机にかじりつく。「文武両道が目標。今度の学年末試験での評定で、5か4しか取れない」と、野球、勉強とも高い意識を持つ。21日からのテストで好成績を挙げ、甲子園でも結果を残す。【中島洋尚】

 ◆岡優太(おか・ゆうた)1999年(平11)5月5日、札幌市生まれ。幼稚園の時に野球を始めた。札幌前田小6年のポップアスリート杯全国8強。札幌前田中2年のジャイアンツ杯全国8強。同3年でNOMO JAPAN選出。内野手。右投げ右打ち。家族は両親と妹。178センチ、78キロ。