第99回全国高校野球選手権(8月7日開幕、甲子園)の福島大会が7日から開幕する。「白球にかける夏」第2回は小高工と小高商が合併し、4月から新しくスタートを切った小高産業技術を特集する。開校に合わせて、南相馬市在住の芥川賞作家・柳美里(49)が作詞を、歌手の長渕剛(60)が作曲を担当し新校歌がつくられた。9日の石川との初戦(2回戦)に勝って、夏初勝利で校歌をとどろかせる。

 学校創立1年目から歴史をつくる。優勝まで6回の校歌を歌わなければならない石附亨主将(3年)は、冷静に闘志を燃やしていた。

 石附 校歌を歌うために、試合をやっているわけじゃない。試合に勝つためにやっている。勝たなければ校歌は歌えない。

 校歌の歌詞の一節「吉名の丘」にある小高産業技術グラウンドはかつて旧小高工が使っており、福島第1原発から車で30分、約22キロの場所に位置する。昨年7月に避難指示が解除され、4月から6年ぶりに同地で練習を再開した。練習は3月まで通っていた原町区の仮設校舎の隣にある南相馬市野球場を週4日、3時間だけ借りていた。現在は時間を気にせず練習できるが、エース左腕渡辺和東(かずき、3年)は「1年前まで誰もいなかったような場所で練習しているのは不思議な感じ。夜は誰もいなくて怖い」と本音を明かす。