今春に小高工と小高商が合併して開校した小高産業技術が、3投手の継投で石川を3-2で下し、夏初勝利を挙げた。先発左腕の渡辺和東(かずき、3年)が6回1安打無失点11奪三振の好投を見せ、最後は1年生右腕の渡部絢斗が締めくくった。試合後は歌手の長渕剛(60)が作曲、南相馬市在住の芥川賞作家・柳美里(49)が作詞を担当した新校歌を熱唱した。

 長渕さん、聞こえましたか? 開校1年目に夏初勝利を挙げた小高産業技術ナインが、壮大な新校歌を熱唱した。20年東京五輪で使用される県営あづま球場を、約70秒間ジャックしてのオンステージ。先発の渡辺は胸を張って声を張り上げた。

 渡辺 春と違って周りの観客に見られて緊張した。サビの部分はしっかり歌えた。2、3番の歌詞は正直あんまり覚えてないんですけど(笑い)。学校として初めての夏で1勝を挙げられてよかった。

 長渕の代表曲「とんぼ」のごとく、自在に球を操った。この日は最速134キロの直球に加え、120キロ台のスライダー、80キロ台の低速チェンジアップを組み合わせ相手打線を翻弄(ほんろう)。「直球と同じ腕の振りで変化球を投げられる自信がある」と11個の三振を積み上げた。9回2死一、三塁のピンチでは後輩の渡部に対してベンチから、長渕さながらの響く声で「楽しんで投げろ」とゲキを飛ばして立ち直らせた。

 サプライズがあった。4月11日に行われた開校式に、長渕が突然ゲストで登場。新校歌や「乾杯」などの生演奏が始まり、体育館が一転してライブ会場に早変わりした。渡辺は「ギターの音が大きすぎるぐらいだったけど、生で見た長渕さんのオーラはハンパなかった」と感激。スーパースターから刺激をもらって、夏本番を迎えていた。

 小高工の名で臨んだ最後の夏となった昨年は、準々決勝で聖光学院に敗れた。今夏も順当に勝ち上がれば8強で激突する。渡辺は「ベスト8以上は目指したい。去年の先輩の分もあるので」と意気込む。狙うは創立初年度での甲子園。あと5回、校歌を熱唱してみせる。【高橋洋平】