“締めカレー”パワーで夏切符を手繰り寄せる。南北海道大会が今日17日、札幌円山球場で開幕する。3年連続27度目の出場となる北海道栄のエース北村悠貴(3年)は、最後の夏に合わせ、冬場から昼食後にカレーライスを食べる独自の食事法で増量。得意の制球力に球威を加え、北海道日大時代の75年以来となる夏甲子園を狙う。

 北村が昨夏以来約1年ぶりに円山のマウンドを踏んだ。「やっぱり円山のマウンドは投げやすい」。16日の公式練習で角度を確かめながら直球8、変化球2球と計10球を投げた。最後は主将として率先してグラウンド整備の指示を出し、自らもトンボを持って駆け回り締めくくった。

 「土がきれい。つぶが細かい」。昨夏の札幌第一との2回戦、0-5の9回2死から登板し、わずか7球で終わった2年生の夏。主将兼4番兼エースとして帰ってきた最後の夏は、大好きな円山の土を目いっぱい堪能し歓喜を引き寄せる。

 自信はある。昨秋、地区予選敗退後、夏を見据えた食事改革に取り組んだ。午後1時に昼食を食べた後に「暑くてもご飯を食べられるから」と毎日カレーライスをおまけで食べ、4キロ増の70キロに増量した。「体重が増えたことで球威が上がった」と、鵡川との地区代表決定戦は最速140キロを記録し13三振を奪い完封勝利。夕食も午後6時半にどんぶりご飯3杯を食べた後、午後9時にパスタを食べる“締めパスタ”で糖質を蓄え、スタミナアップにつなげてきた。

 パワーに持久力、そして精度も磨いた。地区代表決定後、9分割のコースに投げ分ける投球を2セット課した。最初は30球以上かかったものが、今大会直前の14日には21球で終えた。「道大会はコースを突かないと打たれるので」。万全の準備で乗り込んだ。

 北海道栄は現校名となった00年以降、秋全道が05、15年準優勝、南大会は03、04年の準優勝が最高。あと1歩及ばず聖地を逃しており「先輩たちの悔しい思いを晴らしたい」と前を向く。2季連続地区敗退を経験し、華麗なる進化を遂げた大黒柱が、円山のマウンドに仁王立ちする。【永野高輔】