第3シードの藤枝明誠が、春夏連続の甲子園を目指す第2シードの静岡を14-6で破り、創部35年目で初の決勝進出を決めた。9番西村竜馬内野手(2年)の5安打を筆頭に、毎回の先発全員23安打でプロ注目の池谷蒼大投手(3年)を攻略した。

 藤枝明誠は最後まで攻撃の手を緩めなかった。8-6で迎えた9回表、西村のこの日5本目の単打を足がかりに、打者11人の猛攻で6点を追加。8点リードに広げると、5回以降立ち直ったエース久保田蒼布(そう)投手(3年)がその裏を締め、優勝候補筆頭の静岡を振り切った。

 歓喜に沸く選手たちの中で、先発ただ1人の2年生西村が話した。「センターを中心に、甘いボールを振りに行きました。今までやってきた結果が出て良かったです」。相手は最速144キロを誇る県N0・1左腕の池谷。対戦が決まると、前日24日とこの日の朝、13メートルの近距離から130キロに設定したマシン、そして左投げの打撃投手を相手に対策に励んだ。西村は「体感速度は150キロ以上。(池谷の直球は)速く感じませんでした」と言ってのけた。

 6-6の6回表1死満塁から決勝犠飛を放った中田悠斗主将(3年)も落ち着いた表情で言った。「今までは(久保田)蒼布におんぶにだっこでした。『今日は野手だそ!』とベンチで声をかけていました」。13年秋から指揮を執る光岡孝監督(39)も「びっくりしました。途中からは私の出る幕がありませんでした」と驚く快勝。今春の県大会準決勝でサヨナラ負けを喫した静岡にリベンジを果たし、春夏を通じて初の甲子園に王手。中田主将は「明日勝たないと意味はない。気持ちを入れ直していきたいです」とキッパリ。地に足を付けて今日の決勝に挑む決意だ。【鈴木正章】