今春センバツ優勝の大阪桐蔭と準優勝の履正社が激突した大阪大会準決勝は、大阪桐蔭に再び軍配が上がった。3-4の7回、大阪桐蔭が1番藤原恭大外野手(2年)からの3連続二塁打で逆転。9回にもダメ押しの3点を追加し王者の底力を見せた。今秋ドラフト候補の履正社・安田尚憲内野手(3年)は4打数1安打に終わった。

 1番藤原の右翼への二塁打が、大阪桐蔭猛攻の合図となった。7回先頭打者として粘って10球目をとらえ、二塁へヘッドスライディング。「絶対自分がでるんだと。気持ちが出ました」。2年生の闘志あふれるプレーから、センバツ王者の底力が頭をもたげ始めた。

 続く2番福井章吾内野手(3年)も右中間へ二塁打を放ち4-4の同点。3番中川卓也内野手(2年)も右越えの二塁打で続き、3連続二塁打で一気に逆転した。今春のセンバツ決勝では9回に5点を奪い突き放した。この日も7回の2点にとどまらず、9回にダメ押しの3点。終盤に打力で圧倒した。

 西谷浩一監督(47)の一言が、ナインを奮い立たせていた。7回が始まる前にベンチで語りかけた。「夏の大会は後半が勝負。7、8、9回に強いチームを作ろうとやってきた。いよいよ(そう)なったよ」と暗示をかけた。さらに「先輩たちもやってきた。こういうところで強いのがお前たちだよ」。魔法の言葉から始まった、終盤の5得点だった。

 劣勢を打破する練習は繰り返してきた。普段のシート打撃では「1点差だぞ!」「5点差だぞ!」「あと一打でサヨナラだぞ!」と声を掛け合いながら練習する。リードされた場面を想定した打撃を繰り返し、プレッシャーに順応。準々決勝の興国戦も逆転勝ちで、追う展開には慣れていた。

 この日の勝利で、夏の大阪大会ではライバル履正社に10連勝となった。藤原は「履正社が相手だったら自分が持っているものを出しやすい。いいチームですし、楽しい」。西谷監督は「紙一重です。突っ切ってる力があるとは思わない」と繰り返した。3回に先制するも直後に3点を返され、5回に追いつくも、すぐ6回に勝ち越された。苦しい試合の末に最大の難敵を倒し「この勢いのまま戦いたい」と西谷監督。史上初の2度目の春夏連覇を目指し、まずはきょう、大阪の頂点に立つ。【磯綾乃】

 ◆17年センバツ決勝 今春のセンバツで史上初の大阪決戦が実現。大阪桐蔭は初回に藤原が先頭打者アーチを放ち先手を取った。2、6回にも追加点を挙げ、優位に試合を進めたが、履正社が3点を追う8回に同点に追いついた。だが、9回に大阪桐蔭は代打西島が決勝2ランを放つなど一挙5得点。5年ぶり2度目の春優勝を決めた。藤原は初回の先頭打者弾に加え、6回にも本塁打を放ち、大会初の決勝戦2発を記録。西島の決勝戦での代打アーチも大会初のことだった。