東陵と仙台育英が延長15回2-2で引き分け、再試合となった。1-2の9回表1死一塁、東陵の6番目黒司外野手(3年)が、土壇場で左中間を破る同点適時二塁打を放ち延長戦へ。先発したエース右腕佐藤瑞輝(3年)が15回12安打2失点で粘ったのに対し、仙台育英は3投手の継投で11安打2失点にしのいだ。再試合は今日31日に同球場で午前10時から行われる。

 両軍合計23安打が飛び出す3時間21分の死闘を終えた両監督の表情は、ぐったりしていた。仙台育英・佐々木順一朗監督(57)は「得点をとるべき時にとれなかった。お互いよく守って、よく投げた」と相手をたたえる。一方の東陵・千葉亮輔監督(46)は「よく追い付いたけど、本音を言うと(佐藤瑞を)完投させたくなかった。できれば継投でいきたかった」と振り返った。

 試合が動いたのは9回表だった。1点を追う東陵の6番目黒が意地を見せた。初球の真ん中低め直球を左中間に運び、起死回生の同点打を放った。「瑞輝(佐藤)が頑張っていた。絶対打ってやろうと思った」。息を吹き返した東陵は、エース佐藤瑞が15回を168球で完投。終盤には疲労がピークに達していたが、1球ごとに歓声が大きくなり「こんなに投げたことないけど、みんなの拍手が励みになった。監督から『行け』と言われたら行く気持ちはある」と前を向いた。

 仙台育英は同点に追い付かれてから粘りを発揮した。9回表2死三塁でマウンドに上がった西巻賢二主将(3年)は120キロのスライダーで空振り三振を奪い、ピンチを脱した。「練習試合ではなかなかない場面」と汗をぬぐった。継投した2投手が無失点に抑えたが、15回裏2死一、二塁のチャンスでは三塁線に鋭い打球が飛んだが、判定はファウルとなり万事休す。

 再試合の影響で決勝は明日8月1日にずれこんだ。8月に入っての代表決定は06年8月1日に決勝再試合を制した仙台育英以来。佐々木監督は「見た目よりダメージが大きい。次勝っても東北が待っている」とあくまで2年ぶりの優勝を見据える。千葉監督は注目の佐藤瑞の先発について「明日(31日)の朝に決めます」と話した。両軍ともに取材対応を終えると、再試合に備えて足早に球場を後にした。【高橋洋平】