秋季高校野球山形県大会(15日開幕)の組み合わせ抽選会が12日、山形市内で行われた。2季連続の甲子園出場を狙う日大山形は17日、初戦(2回戦)で長井と羽黒の勝者と対戦する。新チーム始動1カ月足らずで主将が代わり、自ら手を挙げた斎藤史弥内野手(2年)が就任した。今夏の甲子園でただ1人の2年生レギュラーとしての経験を生かして、まずは県4季連続優勝に導く。上位3校が東北大会(10月13日開幕、福島)に出場する。

 燃えたぎる情熱を、斎藤は抑えることができなかった。東北(宮城)との練習試合に敗れた翌日の今月4日。2年生でただ1人、甲子園を先発で経験した男は選手間ミーティングで新主将に立候補。満場一致で就任した。

 斎藤 今のままじゃ駄目だと思った。(前主将の)近藤(皓介、投手=2年)は優しく、人に厳しく言えてなかった。自分は率先してプレーで、チームを引っ張ってみせる。

 新チーム始動1カ月弱での主将交代は異例だが、荒木準也監督(45)は平然としていた。近年、新チームの主将は選手間で決めさせている。9月に入って私用でチームを空けていた間に主将が替わり「さすがにビックリした」と苦笑いしたが、「斎藤がやるべきだと思っていた。楽しみ」と期待した。旧チームも4月に主将交代を経て甲子園出場を果たしただけに、驚きはなかった。

 斎藤にも、周囲を納得させる経験があった。入学直後から試合に出場し、2年春から正二塁手に定着。勝負強い打撃が持ち味で、荒木監督からは「打撃センスはナンバーワン」と評された。先輩を押しのけ3番に固定され、今夏の甲子園1回戦(明徳義塾)では6打数2安打3打点。「甲子園は楽しい場所。今度は最上級生で行きたい」と意気込む。

 配慮もあった。斎藤は新エース近藤の調子が上がらないのを感じていた。「主将の重圧で本来のプレーができてなかった。近藤は主将じゃなくても、チームをまとめてくれる」と副主将に据えた。投打の2枚看板が体を張って、2季連続甲子園に導く。【高橋洋平】

 ◆斎藤史弥(さいとう・ふみや)2001年(平13)2月7日、山形・鶴岡市生まれ。朝暘四小3年から野球を始め、鶴岡四中では酒田シニアに所属。日大山形では1年春からベンチ入りし、2年春から正二塁手。175センチ、68キロ。右投げ左打ち。家族は両親、姉、妹。高校通算10本塁打。