駒大苫小牧が立命館慶祥を5-3で下し2年ぶりに4強に進出した。奈良生まれ中国・上海育ちの3番・舞原陽和一塁手(2年)が、初回1死二塁で先制&決勝の適時右前打を放つなど4打数3安打2打点で勝利に貢献。13年以来4年ぶりの秋王座へ、あと2勝とした。今日7日は休養日で、明日8日に準決勝、9日に決勝を行う。

 汚名返上のチャンスを逃さなかった。0-0の初回1死二塁、駒大苫小牧・舞原は外角直球を逆らわず右に打ち返した。初戦の白樺学園戦は犠打、三ゴロと2三振に終わっていた。5日夜、出どころが見えにくい独特なフォームの立命館慶祥エース高塚純正(2年)の映像を30分間、徹底分析。「初戦はボールに合わせてしまい打てなかった。今回は投手の動作に合わせた」とタイミングの取り方を微調整し、全道大会5打席目で初安打を記録した。

 奈良・生駒市出身。スポーツメーカーに勤務する父貴之さん(47)の仕事の関係で、小学5年から中学1年までの3年間、中国・上海で過ごした。「中国では環境の面で半日しか外で練習ができないので、短時間で集中してやることを覚えました」。異国の野球文化に接した後、中学2年で関西に戻り、高校は「人間としても成長できる」と駒大苫小牧を選んだ。

 チームメートから「マイティー」と呼ばれる。力強い愛称と異なり、シャープで器用な打撃が武器だ。「自分は不器用なんで」と謙遜しながら、この日最初の打席で右前適時打、2打席目で左翼線二塁打、3打席目で中堅に犠飛。最後は左前打と3方向に打ち分け、勝利に導いた。

 背番号6で本職の一塁手に加え遊撃、三塁、さらに外野すべてをこなす万能タイプ。佐々木孝介監督(30)は「いろいろできる選手で、交代の方法も増えるし、リーダーとしての資質もある」と言う。攻守だけでなく、副主将として大槻龍城主将(2年)を支える役目を担う“オールマイティー”舞原が、4年ぶり甲子園へとけん引する。【永野高輔】