盛岡大付(岩手)が東海大菅生(東京)に延長11回タイブレークの末、7-12で敗れた。10回に重盗を仕掛けるなど2点を奪って追い付いたが、3番植田拓外野手(3年)が左越えの当たりで先行走者を追い越してアウト。直後に三塁走者の1番林一樹外野手(3年)がノーサインの本盗を失敗した。ミスが重なり勝ち越せず、次の回の表に5点を奪われて終戦した。

 サヨナラ勝ちの上げ潮ムードが暗転した。10回裏に2点差を追い付き、なお無死一、二塁。植田が初球を左中間寄りにかち上げて全力疾走で二塁ベースに到達するも、まさかのアウト(記録は左越え安打)。一塁走者の大里昂生内野手(3年)を追い越すボーンヘッドだった。

 植田 打球しか見てなかった。お前(大里)おったんか? 気付いたら追い越してた。

 ギリギリの当たりだった。二塁走者の林は相手左翼手が捕球できないのを見るや、慌てて三進。大里は林の動きを見ていたため、一塁から大きくリードしていなかった。その直後には林がノーサインの本盗を失敗し、サヨナラ勝ちのチャンスをつぶしてしまった。9回に同点となる遊撃内野安打を放った平松竜也投手(3年)は「落ち着いてやっていたら勝っていた試合」と悔しさをにじませた。

 起伏の激しい試合展開を持ち味とする、ハラハラドキドキの「盛付(もりふ)劇場」を愛媛の地でも存分に見せてくれたが、最後に競り負けた。ミスを連発して敗れた関口清治監督(40)は「もったいない試合。すごく雑。集中力のなさが出た」と肩を落とした。

 春夏連続甲子園8強を達成した東北最強チームは、これで見納めとなった。主将としてチームをけん引した比嘉賢伸内野手(3年)は「自分たちらしい負け方。もう思い残すことはない」とやりきった表情を見せた。自慢の強打で、全国舞台で強烈なインパクトを残し続けた「盛付劇場」が、静かに幕を閉じた。【高橋洋平】