駒大苫小牧が、昨秋準優勝の札幌日大に延長12回の末、7-6でサヨナラ勝ちし、前回優勝した13年以来4年ぶりの決勝進出を決めた。両チーム11安打ずつを放ち1点を争う攻防で、ベンチ入り18人中16人が出場する総力戦で3時間37分の激闘を制した。

 2度のピンチを、駒大苫小牧が総力で乗り越えた。10回無死二、三塁、鈴木雄也投手(2年)の三塁けん制が、バッテリーと内野の連係ミスから悪送球となり2点を失った。荻田隼斗捕手(2年)は「しっかりコミュニケーションが取れていなかった」と反省。だが、3-5と離された10回裏無死一、三塁で代打・弓田竜ノ介(2年)の左犠飛、1死二、三塁で2番・大槻龍城主将(2年)の中犠飛で食らいついた。

 5-6と1点ビハインドで迎えた12回の攻撃前には、佐々木孝介監督(30)が「先輩たちもこういう試練を乗りこえてきた。やってやれないことはない」とカツ。無死満塁から3番・横地颯(2年)の中犠飛で追い付き、4番・荻田の中堅へのサヨナラ犠飛で、激闘に終止符を打った。

 最後まであきらめない戦いに、普段は厳しい佐々木監督も「うれしくて、みんなをほめてあげたい」とたたえた。出場16人。チーム6打点のうち先発4打点、代打で2打点と、ベンチメンバーの力も結集した一丸での勝利に同監督は「総力戦。最後は誰もいなくなっちゃうんじゃないかと思いました」と振り返った。

 日々の泥臭い練習で全員の精神を鍛えあげてきた。打撃練習は<1>最初のストライクを見逃さない<2>低いボールに手を出さない<3>高い飛球は打たないなど禁止事項を定め、ミスをすると見ている全員が厳しく怒声を浴びせるのが新チームのルール。7回に代打で右中間適時二塁打を放った背番号16の白田悠祐(2年)は「言い合うことで自分もミスできないという自覚が芽生える。練習の緊張感を思えばピンチも怖くなかった」と効果を口にした。

 試合中、マウンドに集まった際は「日本一を目指そう」と合言葉を唱え、小さめのNO・1ポーズで気持ちを1つにした。4年ぶり甲子園へ、あと1勝。粘り強い伝統の逆転劇で勢いをつけた駒大苫小牧が、一気に秋頂点へと駆け上がる。【永野高輔】