3年連続8度目出場の仙台商(宮城)が97年以来、3度目の準優勝に輝いた。新田(愛媛)との準決勝は3-1で突破し、午後にダブルヘッダーで行われた決勝には2日連続完封をマークした背番号11の2番手右腕、石垣成(なる、3年)が先発。中京学院大中京(岐阜)に1-6と敗れはしたが、夏以降に調子が上がらず先発を回避していたエース佐藤らいむ投手(2年)の穴を見事に埋めた。

 相手の校歌を聞いていると、石垣の胸の内には悔しさ以上に、満足感が込み上げてきた。今夏の全国8強時には2回しか投げられなかった2番手投手が、今大会は救世主に成長し、決勝にも3日連続で先発。3回に今大会22イニング目で初失点を許したが、3年生最後の大会で意地は見せた。

 石垣 夏8強で負けた相手にリベンジしたかったけど、よくやったと思う。高2の春から投手に転向して、たった1年半。自分としては満足している。

 危機感が石垣の自覚を促した。183センチの長身エース佐藤らいむが夏以降に調子が上がらず、今月の県新人戦では1度もマウンドに上がれなかった。そんな状況を察知していた石垣は「もっと全国で投げたかった。国体は自分がエースで投げてやろうと思った」と、8月以降も週5日の練習で調整を続けていた。西山康徳監督(35)は石垣の独り立ちに「ここでやっと花が開いた。らいむが厳しい中で、責任と自覚を持ってよくやってくれた」と評価した。

 今大会は1イニングしか投げられなかった佐藤らいむも、石垣の姿から刺激を受けていた。「自分は何もしていない。石垣さんからは勇気をもらった」。西山監督就任以降は夏の全国で3年連続8強、昨秋の国体でも8強止まりだった。5度目の挑戦で壁を破り、残った目標は1つしかない。佐藤らいむは意気込んだ。「まだやることが残っている。夏と秋に連敗した中京にリベンジを果たして、全国制覇する」。先輩が残してくれた成長の糧を、さらなる飛躍につなげる。【高橋洋平】