昨秋、「細川の弟」で注目を浴びた明秀学園日立(茨城)のエースで5番を務める細川拓哉投手(2年)は、兄成也外野手(19)の存在を自らの成長へと変えた。兄はDeNAで1年目から1軍で活躍。細川は「プレッシャーです」と苦笑しつつ、身を引き締めた。「甲子園で活躍しないと兄は超えられないなと。目標はプロ。甲子園で活躍すれば(可能性が)広がる」と意気込んだ。

 野球人として、兄の強さを尊敬する。2年前の夏、同校OBの兄は決勝戦で常総学院に0-1で敗戦。目前で甲子園出場を逃したが、エースで4番だった兄に涙はなく、最後までたくましかった。スタンドから見つめた細川は、兄の強さを実感するとともに心に誓った。「兄の分も次は自分がと思った」。有言実行で甲子園への道を切り開いた。

 「兄超え」に向け、二刀流のエンゼルス大谷を参考に進化した。昨秋の関東大会では投打で準優勝に貢献したが、計29回2/3を13失点で制球面など課題を露呈した。この冬は、大谷の投球フォームを参考に修正。肉体面では夕食で毎日約1キロの米を食べながら、ウエートトレで強化し、関東大会後から約6キロ増の体重80キロに増量した。

 “二刀流対決”の雪辱にも燃える。関東大会決勝では、同じくエースで主軸の大谷拓海投手(2年)擁する中央学院(千葉)に敗戦。細川は最後の打者でゲームセットを迎えた。「自分が打てなくて負けた。甲子園では打って、勝ちたいです」と力を込めた。巨人坂本勇らを育てた金沢監督が「野球小僧」と認める細川が、投打で躍動する。【久保賢吾】

 ◆細川拓哉(ほそかわ・たくや)2000年(平12)4月6日、神奈川県厚木市生まれ。小1から北茨城リトルで野球を始め、中郷中時代はいわきシニアでプレー。2学年上の兄でDeNAの成也と同じ明秀学園日立に進んだ。高1から投手に転向し、1年秋からベンチ入り。176センチ、80キロ。右投げ右打ち。