第90回選抜高校野球(23日開幕、甲子園)に向けて滋賀県で合宿中の駒大苫小牧(北海道)は19日、甲賀市内で練習を行った。佐々木孝介監督(31)は合宿中に購入した約2メートルの“特製バット”を使った素振りを選手に課し、フォーム修正を促した。対外試合6戦72安打、平均12安打と好調な打撃維持のため、長尺の木製棒を振ることで体の開きを抑える狙いだ。練習後には大阪入りし、今日20日、甲子園練習に臨む。

 ビュイン、ビュイ~ンと風を切る音がグラウンドに鳴り響いた。17日の組み合わせ抽選後、佐々木監督自ら滋賀県内のホームセンターに出向き、太さと重さをチェックした上で、直径約4センチ、長さ約2メートルの日曜大工用木材を6本購入した。「この太さと、長さがいいんです」。選手が振り抜く姿を、バックネット裏からじっと見守り、時折アドバイスをおくった。

 打撃フォーム調整のための“プチ整形”だ。同監督は「ひらめきですね。長い棒を振るには体を開いてはできない。バットがいい軌道になるようにしたかったので」と説明した。今合宿中、打線は対外試合6戦計72安打と好調で、特に最近2試合は14、19安打と右肩上がり。「打撃が良くなってきているからこそ調子にのって、あさっての方向を向いてしまわないように」と、合宿最終日で引き締めを図った。

 主砲復調への一策でもある。好調な打撃陣の中、4番候補の舞原陽和(3年)が16打数3安打、打率1割8分8厘と調子が上がらない。18日の奈良大付戦は4番から7番に打順を落とし1安打を放つも、本調子とはいえない。「何かがきっかけになってくれたら」と同監督。舞原は「ヘッドの返りが遅くなっていた。長いバットで感覚を取り戻せるよう意識した」と話した。

 この日の守備練習では内野の守備位置も一部てこ入れ。遊撃の舞原を、打撃に集中できるよう三塁に移し、打撃好調な守備職人の石川を、二塁から遊撃に変えた。「選手の特長や調子も踏まえ、一番いい形に持っていけたら。あとは甲子園での動きの感じも含めて考えたい」と佐々木監督。今日20日、聖地でのパフォーマンスチェックを踏まえ、初戦静岡討ちの布陣を詰めていく。【永野高輔】