第90回記念選抜高校野球大会(甲子園)が今日23日に開幕する。22日の開会式リハーサルは雨の影響で主にスタンドで行われたが、選手たちのボルテージは上がる一方だ。第2試合に登場する国学院栃木の柄目(つかのめ)直人監督(35)は、00年センバツの開幕試合に「1番中堅」で出場。同校史上最高の4強入りの原動力となった。「ミレニアムトップバッター」を務めた元戦士が、18年ぶりの聖地で00年生まれの球児とともに新たな歴史を紡ぐ。

 運命に引き寄せられた柄目監督と選手たちが、今日、初戦で勝利を目指す。00年、センバツに出場した国学院栃木の1番打者が高3の柄目監督だった。開幕戦で育英と対戦した。先攻だったため、ミレニアム甲子園、最初の打席だった。俊足を生かしセーフティーバントで一塁を駆け抜けた。チームを一気に勢いに乗せ、4強進出。その年に生まれた子供たちと、18年後の今年、監督としてセンバツ出場を果たした。

 「歴史の流れの中で、運や縁も力の1つだと感じた。だからこそ、人とのつながりを大事にしたい」と、センバツで掲げたスローガンは「つなぐ」。この選手たちが「未来へつなぐ」ための大会にする。柄目監督も、「甲子園は本当に楽しかった。お前たちも思う存分楽しめばいい」と、これまでずっと封印してきた甲子園での経験談を選手たちに話した。

 初戦を控えた22日には、移動のバスで、昨秋の県大会、そして柄目監督が出場した2000年センバツベスト4のダイジェストDVDを全員で観賞。大久保謙亮主将(3年)は「先輩たちのプレーを見て気持ちが入った。早く試合をしたい」と意気込んだ。

 この日の練習では、1球1球、気持ちの入った練習で最終調整。「自信にあふれた表情。非常にいい状態」と柄目監督も満足げに練習を切り上げ、選手たちに言った。「甲子園には魔物はいない。楽しんで野球をすればきっと天使に会える」。18年前にかなわなかった優勝に向け、今日走りだす。【保坂淑子】

 ◆国学院栃木の00年センバツ開幕戦VTR 国学院栃木は開幕戦で優勝候補の育英(兵庫)と激突。1回、先頭打者・柄目が1ボールからの2球目をセーフティーバント。これが内野安打となると、2番畑、3番館野、4番大川の4連打で打線がつながり初回に3点を先行。その後もスクイズや重盗を絡め、13安打で10得点。後半に反撃を許したが10-6と逃げ切り、97年センバツで敗れていた相手に借りを返す白星となった。国学院栃木は続く2回戦で九州学院(熊本)、準々決勝では福島商に勝利。準決勝では智弁和歌山に敗れたが、春夏を通じて初の4強進出を果たした。