新潟大会一の激戦区を北越(新潟)が駆け上がる。1回戦の相手は新潟明訓。昨秋の4強校同士が初戦からつぶし合う。昨秋の北信越大会2回戦で、センバツに出場した星稜(石川)に延長12回、5-7で惜敗した実力校。今春は、初戦の開志学園戦に4-11の8回コールドで敗れ、力を出す前に姿を消した。春は右手小指脱臼を押して出場していた阿部裕二朗外野手(3年)が、万全な体調で勝利を狙う。

 誰よりも夏へのエネルギーを全身にため込んでいるのが阿部だ。コールド負けした春は右手小指脱臼の故障を抱え、実力を出せずに球場を後にした。だからこそ、夏に燃える。3番打者の重責を背負って、バットで勝利を切り開くつもり。「周囲から激戦区と言われているけれど、そこで戦い抜く」。初戦の新潟明訓に勝てば第5シード上越と対戦。帝京長岡、開志学園と、8強までの同じブロックには、北越を含め私立の強豪校がひしめいている。

 「注目校と試合ができるのは楽しみ。気持ちは高ぶる」。小島清監督(43)はそう言って続けた。「夏にかける阿部の思いに期待している。ウチの核になる選手」。春の大会1週間前に聖光学院(福島)と行った練習試合で、右手小指を脱臼した。出塁した一塁でけん制時の帰塁に右手から戻り、負傷した。開志学園との初戦には患部にサポーターを巻いて出場したが「バットを握ると痛かった」と、本来のパワーを出せなかった。

 だからこそ、阿部は夏にかける。「モットーは全力疾走」と最後の夏を猛スピードで走り抜ける構えだ。星稜と延長12回で惜敗した北信越大会2回戦は2安打(6打数)したものの「内野安打だった」。昨秋、今春と2大会連続で、物足りなさを残したまま終えている。初戦で対戦する新潟明訓は、不完全燃焼だった過去2大会を振り払って爆発するのに最適な相手だ。

 打撃練習は、たっぷり積んできた。40本、30本、20本、10本を1セットにした連続ティー。マウンドの手前にケージを4カ所作って、バックネットに向かって打ち込むフリー打撃。阿部は1キロの金属バット、木製バットをフルスイングして打撃を磨いてきた。「右方向にも、左方向にも、強い打球を打ちたい」。試合前にスパイクのひもを左足から結んでいくと、阿部の闘争心にスイッチが入る。【涌井幹雄】