<高校野球北大阪大会:大産大付10ー3高槻北>◇7日◇1回戦◇京セラドーム大阪

 高槻北(北大阪)のエース小林千真投手(3年)は最後の夏、代打での出場だった。2-7の7回、先頭で打席に立ち中前打を放った。「バットにも当たらないんじゃないかと思っていたので、うれしかった」。

 小林の高校野球最後の1年は、苦しい出来事が続いた。部内の不祥事により1月から7月上旬まで対外試合禁止。実戦経験を積むことができなかった。6月の体育祭。リレーのアンカーで走っていると、突然右足に激痛を覚え、動けなくなった。右腸腰骨付近を骨折し、今大会の1週間前まで松葉づえでの生活を余儀なくされた。「夏にかける思いが強かった。絶対に戻してやろうと思っていた」。この1週間はダッシュは一切せず、必死に投げ込みを続けてきた。

 6月18日に起きた大阪北部地震の影響もあった。学校の貯水槽の配管が破裂し、校舎の3、4階が水浸しに。3日間休校となり、その後も平日は1日1時間程度しか練習が出来なかった。「正直苦しかったです」とさまざまな思いを胸に秘め、この日に臨んでいた。

 高槻の地元の人は、練習中に「頑張って」と声をかけてくれたという。「勝つことが恩返しだと思っていた。あれだけ苦しい時期が多かったし残念です」。悔いは残るが、その思いは届いたはずだ。【磯綾乃】