山梨学院のプロ注目左腕垣越建伸投手(3年)が剛腕を見せつけ、初陣を飾った。183センチ、92キロの体格を生かし、初戦は最速142キロのストレート、120キロ台後半のスライダーだけの組み立てで初回先頭から9連続三振ショー。「自分のテンポで投げることだけ。球速にはこだわらず、あえて緩急もつけなかった」と納得の笑顔だった。

 自己最速144キロを更新する感触も得たが「最後までギアは上げなかった」。7点のリードを受け、3回36球で9人を抑えて降板。続投なら、連続12奪三振の県記録更新が濃厚だったが「9連続は初めてですが、他の投手も経験を積めた」と眼中にない。

 昨秋から下半身強化に取り組むと同時に股関節の柔軟性と可動域を広げた。「今もフォームを微調整している。初戦にしては、まあまあかな」。長崎・清峰時代にセンバツを制覇(09年)した吉田洸二監督(49)は、夏3連覇を託す大黒柱に口元を緩めた。

 プロスカウトも熱視線を送った。DeNAは吉田孝司、進藤達哉の両GM補佐ら総勢4人態勢で入念チェックする本気モード。「ゆったりとしたフォームの大型左腕で魅力がある。引き続き、要チェックしたい」(進藤GM補佐)。「スピードはまだまだアップするはず。好印象の左腕」(巨人木佐貫洋スカウト)。

 飛騨高山ボーイズのチームメートで今春センバツV投手の大阪桐蔭・根尾昂(3年)と誓った聖地での再会へ、剛腕の夏が豪快に幕を開けた。【大上悟】