横浜商(南神奈川)が、第2シードで優勝候補の横浜隼人を終盤の大逆転で破った。稲妻大成主将(3年)が、90年夏に右翼手として甲子園に立った父に続き、親子2代での“Y校甲子園”にまた1歩近づいた。

 2点を追う8回、先頭の稲妻は二塁へのゴロで相手のエラーを誘った。この出塁が、とんでもない逆転劇を呼び込んだ。1死満塁から暴投で1点。さらに四球で満塁、一ゴロが本塁悪送球を呼び、2者生還し逆転。1死二、三塁から加山舟人捕手(3年)の右越え三塁打で5点目。死球を挟み、トドメは稲妻が中前適時打を放ち、この回6点目をたたき出した。笑顔の稲妻は「スタンドの応援もあって逆転できた」。見えない力を感じていた。

 稲妻の父征省さん(46)とY校同期の小嶋一紀監督(45)は「甲子園に導く風を吹き込んでくれている気がする。持ってる男ですよ」と息子の力に驚く。そんな稲妻の応援歌は父と同じ巨人松本匡史の「青い稲妻」だ。稲妻は「甲子園の姿はビデオで見ました。尊敬してます」と話す。今年は90年出場時の復刻ユニホームで戦っている。監督、父と同じ舞台に立つ日まで、Y校は勝ち続ける。【松熊洋介】