第100回全国高校野球選手権北北海道大会は15日、旭川スタルヒンで行われる予定だった1回戦3試合が、雨のため今日16日に順延となった。第3試合で釧路明輝と対戦予定だった旭川実は同校で約2時間の調整。日程がずれ、21日の決勝と誕生日が重なることになった8番森谷汰樹右翼手(3年)は、バースデー甲子園を誓った。

 決戦は誕生日-。降りしきる雨は、旭川実の森谷にとって価値あるプレゼントになった。釧路明輝戦を含め北大会すべての試合が1日ずつスライド。勝ち進めば、8年ぶりの甲子園出場をかける決勝戦は、18回目の誕生日、21日になった。組み合わせ決定時から意識していた。「まさか本当に重なるとは…」。初戦を前に一層とモチベーションが高まった。

 全道準Vの昨秋、地区予選の代打出場しか出番がなかった。冬場は自分自身を見つめ直し「客観的な視野がなかった」と反省した。積極的に仲間に声をかけ、後輩に対する助言を心がけるようにした。口ベタで「自分がチームにどう良い影響を与えることができるか」を必死に考えた。坂口新監督(34)に精神面の成長を認められ、今春からスタメンに定着した。

 胸に刻む言葉がある。インターネットで目に留まったフレーズ。「置かれた場所で咲きなさい」。それぞれが役割を果たすという意味に共感。8番打者として、バントなどの小技を磨いた。サッカー、ワールドカップ・ロシア大会で16強入りした日本代表MF本田圭佑(32)に注目した。「ベンチだけど献身的にサポートしていた。舞台は違うけど、去年の自分と何か重なる部分があった」。腐らずに、少ない時間でも結果を残すレフティーの姿に、あらためてフォア・ザ・チームの重要性を確認した。

 この日は旭川市内の同校室内練習場でバットを振り込んだ。ナインと顔を合わせると「決勝と誕生日が同じじゃん」と声をかけられて高揚。「明日(16日)の初戦から良いリズムを作りたい。特別な誕生日にしたいです」。周囲に大谷翔平(エンゼルス)似ともいじられたことのある、おとこ気あふれる背番号9。仕切り直しの一戦から頂点まで駆け上がる。【西塚祐司】