鹿児島大会は、春夏26度の甲子園出場を誇る名門の樟南が、曽於を9-0の7回コールドで破る快勝発進を決めた。プロ注目で最速145キロ、鹿児島NO・1左腕と評判の松本晴(はる)投手(3年)が7回1安打無失点の快投を演じた。

 7回参考ながら、ノーヒットノーランまであと2人の快投だった。7回1死。松本が「打ち取ったと思った」相手3番の打球は無情にも右前にポトリ。「ヒットを打たれて残念でした」。天を仰いで苦笑した。だが、集中力は切らさず、続く4番を二ゴロ併殺に仕留めて締めた。「良くはなかった。(でも)悪いなりに修正できて良かったです」鹿児島NO・1と評判の左腕が、貫禄投球で7回コールド発進に貢献した。

 1回からエンジン全開だった。ゆったりしたモーションで、重心を軸足に乗せる投球フォーム。先頭打者を遊ゴロに仕留めると、2番の左打者を外角いっぱいの直球で、3番の右打者は内角直球で連続の見逃し三振に斬った。2回以降も最速145キロの伸びのある直球と抜群の制球力で曽於打線を圧倒。4回からは決め球のスライダーも織り交ぜて翻弄(ほんろう)し、4者連続三振も奪った。

 7回71球で1安打10奪三振のワンマンショー。山之口和也監督(51)は「初戦ですし、まずはしっかりエースで臨んだ。昨夏も投げている。マウンド経験を生かしてもらいたい」とさらなる進化を期待した。

 リベンジの夏になる。昨夏は、捕手だった兄の連(れん)さん(亜大1年)とバッテリーを組んで甲子園を目指したが、準決勝で優勝した神村学園に敗れた。よく連絡があり近況を問われるという連さんからは今夏前、「頑張れよ」と励まされ、力をもらった。出身は大阪で4歳から親に連れられた甲子園球場で高校野球を観戦してきた。そして中1時に、夏の甲子園で2回戦まで進出した雄姿に感動して樟南を選んだ。ぼくもいつかは聖地のマウンドで…。「強いチームと対戦してどれだけ通用するか投げてみたい。大阪桐蔭とやってみたい」。願いをかなえる夏が来た。【菊川光一】

 ◆松本晴(まつもと・はる)2001年(平13)2月24日、大阪市生まれ。西船場小4年から軟式野球を始める。花乃井中では大阪生野シニアに所属。中3で西日本大会出場。樟南では2年夏からエース。変化球はスライダーのほかカーブ、チェンジアップもある。180センチ、77キロ。左投げ左打ち。