<高校野球南神奈川大会:藤嶺藤沢10-2湘南学院>◇21日◇4回戦◇サーティーフォー相模原球場

 キャッチャーマスクの下には、サングラスを着用している。4月30日の練習試合で、犠打をした際に打球が左目を直撃。ベンチまで「ぐちゃ」という音が届くほどの衝撃だった。眼底骨折し、髄液が漏れる大ケガ。血も吐いた。1週間は絶対安静。2週間の入院で、体重は4キロ減った。指先のトレーニングや声出しからリハビリを始めた。ようやく6月に実戦復帰。まだ瞳孔は開いたままだが、怖さを克服し正捕手の座を守った。

 8強進出を決め「野球部をやめなくてよかったです」とにっこり笑う。2年秋、授業中の私語を注意され、学校生活から厳しく指導する中丸監督にグラウンド立ち入り禁止を言い渡された。それから1カ月間、毎朝職員室の前に立ち続け、練習参加を頼み込んだ。先が見えず「つらくて、やめようと思った」が、支えてくれたのは仲間。「一緒にやろう」と声を掛け続け、監督に直談判をしてくれた。退部危機も、ケガも乗り越えての最後の夏。「仲間がいたから、続けてこられた。全員の力で勝っていきたい」と頂点を見据える。【保坂恭子】