打倒大阪桐蔭の秘密兵器登場か。北大阪大会で履正社の1年生右腕、田淵一樹投手が4回0封の公式戦デビューを飾り、8強入りを導いた。188センチの長身から繰り出す角度ある真っすぐを武器に1安打。甲子園を目指し母千秋さんと岡山からやってきた期待の星が輝いた。

 履正社の1年生右腕田淵が、公式戦デビュー戦で快投し、8強入りに貢献した。初回、先頭打者に四球を与えるも、その後は二塁すら踏ませないピッチング。「最初はちょっと緊張してしまってボールが先行したけど、ファーストストライクを取れるようになってから落ち着いて投げられました」。4回1安打無失点で打線の猛打爆発を呼んだ。

 岡田龍生監督(57)は「どうしようかなと思っていたんですが、昨日のピッチングを見ていたら、いいかなと。いいもんを持ってる」と起用を決断。16年ドラフト1位で指名された寺島成輝も1年夏の先発は経験しておらず、大抜てきに応えた。

 188センチ、72キロの長身右腕は中学時代に最速138キロをマーク。中学3年時にはNOMOジャパンにも選出された。テレビ番組でソフトバンク松田と対戦し、三振を奪った経験もある。「自主性が高い」と履正社を志し、岡山から母千秋さんと2人で大阪へ。「自分が行きたいところに行きなさい」と入学の背中を押してくれた。千秋さんはフラワーアレンジメントの仕事をしており、2週間に1回ほど岡山と大阪を行き来する日々。「忙しい中、僕の世話をしてくれているので、頑張っていいプレーを見せたい」と感謝の気持ちでいっぱいだ。

 この日は16歳の誕生日だった。「3年生の最後の大会なので、ちょっと緊張しました」と振り返ったが堂々のピッチング。2年ぶりの夏へ、頼もしい秘密兵器が加わった。【磯綾乃】

 ◆田淵一樹(たぶち・いつき)2002年(平14)7月24日、岡山県生まれ。大元小1年から大元スポーツ少年団ソフトボール部でソフトボールを始める。桑田中ではヤンキース岡山に所属。中学時に最速138キロ。188センチ、72キロ。右投げ右打ち。