<高校野球南大阪大会:近大付4-2大体大浪商>◇26日◇準決勝◇大阪シティ信用金庫スタジアム

 大体大浪商・立石健投手(3年)の夏は終わった。大阪屈指の好投手としてプロ注目の右腕。この日は「一番負けたくなかった」という近大付のエース大石と対決。だが、立ち上がりに連打を浴びた。「大石より先に点取られんとこと思っていましたが、あの2点が敗因です」。2回に自ら同点ソロを放ったが、6回に勝ち越しを許し、決勝進出を逃した。

 「甲子園に行きたい」。その思いで大体大浪商へ進んだ。79年牛島和彦-香川伸行のバッテリーを軸に出場して以来、39年ぶりの出場へ、チームの先頭に立ってきた。ベンチ入りは1年秋。緊急リリーフの直後に降雨再試合となった今夏2回戦では四田勝康(よしみち)監督(61)から「立石を立てて負けるはずがない」と先発を託され、期待に応えた。信頼感は絶大だった。

 敗れても涙は見せなかった。「このメンバーでやってこられてよかった」。球友の肩を抱き気丈に振る舞った。2年半持ち続けた夢はライバルに託す。試合後大石に「甲子園行ってな」と言うと「ありがとう」と返ってきた。「いずれはプロになりたい。次に大石と戦うことができたら勝ちたい」。立石の胸に新しい夢が生まれた。【望月千草】