第100回全国高校野球選手権記念大会は、第12日の3回戦4試合が行われる予定で、センバツ覇者の大阪桐蔭(北大阪)や地元の報徳学園(東兵庫)が登場する。

 元球児による「レジェンド始球式」は徳島商OBの板東英二氏が務める。58年夏の甲子園に徳島商エースで出場。準々決勝で魚津の村椿輝雄と延長18回引き分け試合を投げ合い、日本中をわかせた。59年に中日入団し、69年の引退まで77勝65敗、防御率2・89。引退後は野球解説、タレントで活躍する。

 

<見どころ>

【第1試合(8:00) 報徳学園(東兵庫)-愛工大名電(西愛知)】

 両校は1981年大会準決勝で直接対決がある。報徳学園・金村義明(元近鉄)が9回1失点の好投で3-1勝利。決勝は京都商に勝利し、優勝している。(愛工大名電は当時の校名が名古屋電気)。

 地元勢の報徳学園が春夏60勝に王手をかけている。初陣の聖光学院(福島)戦はプロ注目の小園が大暴れ。大会最多タイ3二塁打をマーク。3-2で勝利したが、3得点とも小園の生還によるもの。切り込み隊長役として、チームに勢いをもたらした。

 小園の作ったチャンスに応えたのが3番長尾。得点圏に3度、小園がいる状況で回ってきて3安打。東兵庫大会は打率2割2分2厘と苦しんだが、大舞台で結果を出した。小園と長尾を中心にたたみかける。投手陣は渡辺友哉-木村の継投で2失点に抑えた。投打で力を発揮し、2010年以来8年ぶりの8強進出を目指す。

 愛工大名電は37年前の借りを返す。エース工藤公康(現ソフトバンク監督)を擁し、準決勝で報徳学園に対戦も惜敗。1981年大会以降、8強入りがなく今回は是が非でも倒したいところだ。

 初戦となった2回戦は白山(三重)に10-0で快勝。打線は15安打とつながった。柳本と西脇の1、2番コンビがいずれも4安打をマーク。チャンスを演出した。室田-秋山の2投手でつなぎ、無失点に封じた。リベンジマッチは2回戦同様に投手陣でリズムを作り、打線爆発へつなげたい。

◆報徳学園のおもなOB 元近鉄金村義明、ロッテ清水直行コーチ

◆愛工大名電のおもなOB マリナーズ・イチロー、ソフトバンク工藤公康監督

 

【第2試合(10:30) 二松学舎大付(東東京)-浦和学院(南埼玉)】

 東京勢と埼玉勢の春夏の対戦成績は、5勝2敗で埼玉勢が勝ち越している。二松学舎大付は1982年春に8強進出(決勝でPL学園に敗れて準V)をしているが、夏はなく勝てば創部60年目で初。浦和学院は春8強以上は6度あるが、夏に限れば初出場だった1986年大会以来32年間、遠ざかっている。

 二松学舎大付は2回戦で昨夏準Vの広陵(広島)を破った。象徴的だったのが1試合で6度成功させた犠打。同点の7回には3犠打(1度は野選)でチャンスを広げ、2本の適時打で勝ち越した。4番保川は得点圏に走者がいる場面で2安打3打点と勝負強い打撃で“バント作戦”を生かした。

 浦和学院は初陣となった2回戦に仙台育英と因縁の対決となった。両校は2013年大会の初戦で対戦し、サヨナラ負けを喫している。5年前のリベンジを誓い、初回に2点を先制すると、8回には主将・蛭間の本塁打をなどで終盤に突き放し9-0で快勝した。先発渡辺は自己最速タイの149キロの直球と切れ味鋭いスライダーなどで6回3安打無失点。後を受けた永島、美又王寿、河北の0封リレーで投手層の厚さを見せた。

◆二松学舎大付のおもなOB 元ロッテ初芝清、広島鈴木誠也

◆浦和学院のおもなOB 元ヤクルト鈴木健、巨人大竹寛

 

【第3試合(13:00) 済美(愛媛)-高知商(高知)】

 済美は8強入りなら、夏は準優勝した2004年以来14年ぶり。春夏通算20勝となる。打線は2回戦の星稜戦で延長13回サヨナラ満塁本塁打を放った1番矢野が打率6割6分7厘、5打点と絶好調で、安打数でも全体のトップタイ。9番政吉も打率7割1分4厘、1本塁打、4打点とバットが振れている。投げてはエース山口が2試合連続完投。1回戦(対中央学院)9回7安打4失点(自責3)、2回戦(対星稜)13回15安打11失点(自責8)と疲れも少し見えるが、粘り強い投球で低めに球を集めたい。

 高知商は8強入りなら1985年以来33年ぶり。勝てば春夏通算62勝(35敗)となり、智弁和歌山を抜き、広島商と並ぶ10位タイとなる。

 打線は活発で2試合で打率3割6分4厘。特に安打数で全体トップタイの7番藤田は打率6割6分7厘、6安打、打点で全体トップタイの2番西村は打率6割2分5厘、6打点と絶好調だ。投げてはエース北代が2試合連続完投。1回戦(対山梨学院)は9回14安打12失点(自責12)、2回戦(対慶応)は9回14安打6失点(自責4)。低めに内外角を投げ分けたい。

 四国勢同士の対決となるが、両校の直接対決は初。愛媛勢対高知勢は過去4勝3敗(夏2勝2敗)で愛媛勢がリード。春夏合わせて愛媛勢は185勝(9位)、高知勢は184勝(10位)とわずかに1勝差と実力伯仲。強力打線が看板の似たチームだけに打撃戦も予想される。

◆済美のおもなOB 広島福井優也、楽天安楽智大

◆高知商のおもなOB 元阪神中西清起、阪神藤川球児

 

【第4試合(15:30) 大阪桐蔭(北大阪)-高岡商(富山)】

 史上初となる2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭は、勝てば香月(現ロッテ)らを擁し全国制覇した2014年以来、4年ぶりの8強入り。春夏合わせてチームでは59勝12敗(夏は33勝5敗)となり節目の60勝に王手となる。西谷監督の通算勝利数も52勝となり、51勝で並んでいる帝京・前田三夫監督、渡辺元智・元横浜監督を抜き単独3位となる。ちなみに1位は智弁和歌山・高嶋監督68勝、2位中村順司元PL学園監督58勝。甲子園で50勝以上している監督通算勝率でも、勝てば西谷監督は8割5分2厘となり、1位の中村元PL学園監督8割5分3厘に肉薄する。

 1回戦(対作新学院)で3-1と辛勝、2回戦(対沖学園=10-4)も5回まで3-2と接戦を演じた。4番藤原は2試合計9打数4安打1打点、5番根尾が同7打数4安打1打点と本来の実力を発揮しており、2人の前にチャンスメークできるかが鍵。2回戦で藤原と根尾が本塁打を放ち、夏の本塁打数は通算44本。1位PL学園45本にあと1本と迫っている。投手陣は柿木、根尾の順番で先発しているが、3回戦はローテ通り柿木で先発させるか。

 高岡商は勝って8強入りなら1947年以来71年ぶり。最速148キロを誇るプロ注目のエース山田は1回戦(対佐賀商)7回5安打1失点(自責0)、2回戦(対佐久長聖)9回9安打4失点(自責3)で防御率1・69、15奪三振と安定感が光る投球内容。大阪桐蔭の3番中川、4番藤原、5番根尾はいずれも左打者だが、サウスポーの山田が左対左の利を生かせるか。打線は1回戦6安打4得点、2回戦は9安打5得点と地方大会で4割超をマークした実力にはまだまだ。2試合戦って硬さのとれた3回戦、大阪桐蔭の好投手相手に強力打線の本領発揮なるか。

◆大阪桐蔭のおもなOB 日本ハム中田翔、西武中村剛也

◆高岡商のおもなOB DeNA進藤達哉GM補佐、日本ハム紺田敏正コーチ