第100回全国高校野球選手権記念大会は、第16日の決勝が行われる予定で、悲願の東北勢初優勝を目指す金足農(秋田)と史上初2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭(北大阪)が対戦する。

 元球児による「レジェンド始球式」は69年夏の決勝で投げ合った三沢OBの太田幸司氏と松山商OBの井上明氏が務める。両校は49年前の夏の決勝で延長18回0-0引き分け、翌日に再試合という熱戦を繰り広げた。端正な顔立ちに決勝戦の熱投もあり元祖「甲子園のアイドル」として絶大な人気を呼んだ太田氏は、69年ドラフト1位で近鉄入団。実働13年で通算58勝85敗4セーブの記録を残した。井上氏は高校卒業後、明大、社会人野球でもプレーした。

 

【決勝(14:00) 金足農(秋田)-大阪桐蔭(北大阪)】

 金足農が東北勢初となる悲願の初優勝を目指す。エース吉田は5試合連続完投で決勝に導いた絶対エース。防御率2・00と抜群の安定感だ。

◇吉田輝星 5試合 45回 被安打43 三振58 自責10 防御率2・00

 大会最多タイとなる4試合2桁奪三振を記録し奪三振数は58。準決勝で2桁三振記録はいったん途切れたが、決勝で2桁奪三振をマークすれば、1大会2桁三振5試合は06年の早実・斎藤佑樹投手に続き史上2人目(斎藤は決勝と決勝の引き分け再試合で2桁奪三振を記録)。

 3回戦の横浜戦で股関節を痛めた吉田は、準決勝の日大三戦では、変化球主体の投球に切り替え三振数こそ7だったが1失点の好投。ピンチになれば、藤川球児ばりの「火の玉ストレート」で準決勝でも9回に最速148キロをマークした。大阪桐蔭のドラ1候補根尾、藤原を前に吉田が今大会計測した自己最速150キロを上回るか。連投となるだけに吉田の回復具合が唯一の気掛かり。

 打線は宮崎駿アニメ「天空の城ラピュタ」から命名された1番菅原天空(たく)が打率3割5分と好調。甲子園の天空で羽ばたけるか。3番吉田はバットでも4割3分8厘と当たっている。チーム打率3割9厘だが、1、2番で出塁し主軸で返したい。金足農は盗塁数は0も、犠打19と手堅く送る野球が特徴。準々決勝で2ランスクイズを成功させた7番菊地彪吾の快足にも注目。

 大阪桐蔭は、14年以来4年ぶり5度目の優勝を目指す。夏優勝5度は、7度の中京大中京(愛知)、6度の広島商に次ぐ3位タイとなる。春夏通算8度目の優勝は、11度の中京大中京に次ぐ単独2位。西谷浩一監督は春夏通算7度目(夏5度)の優勝監督となり、中村順司氏(PL学園)を抜いて単独1位も懸かる。大阪桐蔭は春夏合わせて過去7度決勝に進出し無敗(夏4回、春3回)。決勝の無敗伝説は継続なるか。

 金足農打線は1番と9番を除き7人が右打者。今春のセンバツ優勝投手で、中2日の右腕根尾が先発か。状況次第では、準決勝で155球を投じたエース柿木、大型左腕の横川の投入も。

<大阪桐蔭3投手の成績>

◇根尾 2試合 13回 被安打12 三振13 自責6 防御率4・15

◇柿木 5試合 27回 被安打17 三振32 自責2 防御率0・67

◇横川 1試合  5回 被安打3  三振9  自責1 防御率1・80

 打線はチーム打率は3割1分5厘で、特に1番宮崎(4割2分1厘)4番藤原(4割2分9厘)、5番根尾(4割7分1厘)が好調。当たりが出ている1~5番は強力だ。

 秋田勢対大阪勢の対戦は、春夏通算2勝5敗(夏は1勝4敗)と大阪が3勝リード。直近では1991年(第73回大会)夏の3回戦で大阪桐蔭が秋田を4-3で下している。

◆金足農のおもなOB ヤクルト石山泰稚、元中日小野和幸

◆大阪桐蔭のおもなOB 阪神藤浪晋太郎、西武森友哉