金足農の躍進に、県内の中学硬式野球の普及がある。10年前まで秋田は「硬式野球不毛の地」だったが、現在は県内に5チーム存在する。吉田が所属した秋田北シニアは中学3年生コースと呼ばれるもので、中学軟式野球部を中3夏で引退した選手を対象としている。吉田は中3の夏、中総体予選で県4強に終わり、8月から秋田北シニアに所属。同様のコースにいたのが、菅原天らだった。

 秋田北シニアの武田一泰会長(69)は「昔、中学は軟式野球部だけという感じでしたが、今は中3コースには40人ぐらいの申し込みがあります。現在は定員30名ほどにしています」と説明する。

 高校入学まで、実戦感覚を失わないためと、硬式に慣れるために現在は志望者が相次いでいるという。土日も含めた週5日の練習だけではなく、9、10月には3年生大会が行われる。スタンドには高校の監督がスカウトのために見学に訪れるほどだが、武田会長は「吉田はシニアに入ってきた時から金足農を志望していましたからね」と当時を振り返る。

 中1からシニアに所属する本隊を始め約20人の選手がいる中、一挙7人が金足農に入学。同会長は「吉田は中学からすごかった。秋田NO・1になるとは思ったけど、全国クラスになるとは」と驚いていた。