秋季高校野球静岡大会は今日1日、各地区で敗者復活代表決定戦が行われ、県大会に出場する全25校が出そろう。中部では、静岡が静岡東と対戦。捕手の小岩和音(あのん=2年)を軸に、センバツへの道をつなぐ決意だ。

静岡の小岩は、チームの現状を苦々しく思っていた。「地区初戦負けが24年ぶりと聞いて、恥ずかしさを感じます」。6-10で敗れた静岡商との初戦には外野手で先発出場。だが、慣れないポジションに戸惑い、実力不足を感じた。

翌日の練習から捕手に戻った。意識して投手とコミュニケーションを取った。「プライドが高い人が多く、前は聞く耳を持たなかったのですが、力不足を感じてか、変わってきました」。配球などの技術的な話を続けている中、斉藤颯斗投手(2年)には「兄貴のような存在」と言わしめた。実は、小岩は10人きょうだいの次男で、4人の弟、4人の妹がいる。包容力は自然と身についた。

先月28日には、横浜との練習試合(3-5)で、栗林俊輔監督(45)から言われてきた「常に冷静でいて、心配りをしろ」の意味を深く感じた。1回、「横浜」を意識し過ぎて4失点した。だが、2回以降は、冷静に相手打者を観察し、それぞれの特徴を把握。2回から9回までは1失点に抑え、自信をつけた。「落ちついてやれば、大丈夫だと分かりました」。

中1だった14年夏、試合を観戦して静岡に憧れた。念願をかなえて入学し、新チームでレギュラーになった。その責任も自覚している。「負けることが許されないチーム。自分が引っ張って、勝ちたいです」。センバツへの道をつなぐべく、まずは県切符をつかみにいく。【河合萌彦】

◆小岩和音(こいわ・あのん)2001年(平13)7月9日生まれ、浜松市出身。小1の冬、米カリフォルニア州アーバインのリトルリーグチームで野球を始めた。小3で帰国後はソフトボールをプレー。富塚中から野球を再開。家族は両親と兄1人、弟4人、妹4人。172センチ、72キロ。