岩手の新怪物の仲間にも「吉田コウセイ」がいた! 大船渡の吉田昂生内野手(1年)が、最速157キロエース右腕・佐々木朗希(2年)を援護。金足農・吉田輝星投手(3年)と“同姓ドウメイ”で、本来は投手ながら打力を評価されて遊撃で先発起用され、4打数3安打3打点の大活躍。11-1の7回コールドで一戸を圧倒した。憧れる“2人の先輩”の背中を追い、来春のセンバツ出場権獲得にも意気込んだ。

吉田が左打席で強振した。6回に1点を追加して4-1となった1死一、二塁。二塁走者の佐々木から期待の声をかけられ、さらに燃えた。打球はグングン加速し、右翼フェンス直撃。三塁まで全力疾走し、本塁に生還したエースに向かって、笑顔でガッツポーズした。「いつも毎試合1本打つことを考えている。前の打席で安打を打てていたので、思い切り良く打席に立てました」。6回に5者連続安打を含む7安打で一挙6点。1年生の積極的な打撃が、先発全員安打のコールド勝ちを導いた。

昨夏の岩手県大会で147キロを記録した佐々木の投球を見て「朗希さんと一緒に野球をして学びたかったし、私立じゃなくても甲子園に行けると思った」と入学した。高田一中では投手として東北大会出場経験もあるが、遊撃にコンバート。今夏の3回戦敗退はスタンドで経験。「背番号20は朗希さんが夏につけていた番号。上を見すぎてはいけないことも分かったし、1戦1戦気持ちを込めて戦いたい」と躍動する。

甲子園準優勝した金足農の影響で、周囲から「吉田コウセイ」とフルネームで呼ばれることが多くなった。「カナノウの輝星さんが活躍しているので、プレッシャーもあるけれど、なるべく意識しないようにしています。でも、自分の名前もとどろかせられるように頑張っています」。難産でも元気良く産声をあげた生命力への感謝と、自分を高めていける昂ぶる願いを込めて命名された。父秀毅さん(47)は「吉田さんと同じ名前は有り難い。打力で守備のまずさを取り返してほしい」と期待を寄せた。

明日19日の準々決勝では黒沢尻北と対戦する。吉田は「朗希さんの悔しい顔は見たくない。甲子園に行く気持ちでいます」。岩手の「コウセイ」が、佐々木朗希と夢を追う。【鎌田直秀】

◆吉田昂生(よしだ・こうせい)2002年(平14)10月17日、岩手・陸前高田市生まれ。矢作小4年でTSスポーツ少年団で野球を始め、高田一中では軟式野球部所属。今秋からベンチ入りし「6番遊撃」で出場。173センチ、64キロ。右投げ左打ち。家族は両親と弟、祖母。