静岡県高野連は2日、来春のセンバツ「21世紀枠」の県推薦校を秋季県大会準優勝校の清水桜が丘に決定したと発表した。推薦理由として「施設面での困難克服」「学業と部活動の両立」「部員の地域貢献」などが挙げられた。朗報を受けた曲田雄三監督(35)は「学校全体で選ばれたと考え、誇らしく思います」と目を細めた。

名門清水商の流れをくむサッカー部とグラウンドを共用する野球部は、限られた時間とスペースで練習を重ねている。その中で今秋は県大会準優勝、東海大会初出場。同大会1回戦で岐阜第一に4-5で惜敗したが、延長11回まで戦ったことも評価された。

選手たちは、知らせを素直に喜んだ。主将の小川允羅(ちから)三塁手(2年)は「東海で負けて甲子園への道が閉ざされましたが、もう1度見えてきたことがうれしいです」。エース敦賀渉(2年)は「自信が出ました。今後も謙虚に野球に臨み、レベルアップしていきたいです」と言い、指揮官は「こうして選ばれることに値するチームで居続けたいと思います」と気を引き締めた。

ただ、21世紀枠の県推薦校からのセンバツ出場は1度もない。今後は東海4県での選考を経て、来年1月25日に出場校が正式発表される。13年に清水商と庵原が統合して生まれた清水桜が丘に、桜は咲くのか…。選出なら、甲子園出場は清水商時代の86年夏以来。新たな歴史が刻まれることを願い、曲田監督は「あとは待つだけです」と言葉に願いを込めた。【河合萌彦】

◆21世紀枠 困難な練習環境を克服したり、地域貢献など、野球以外の要素を選考条件に加え、甲子園出場のチャンスを広げる目的で01年から導入された。推薦校は原則、秋季都道府県大会の16強以上(加盟129校以上は32強以上)から選出。07年までは2校、08年から3校を選出(記念大会の13年は4校)。東、西日本から各1校、残り1校は地域を限定せずに選ぶ。同枠最高成績は、01年宜野座(沖縄)と09年利府(宮城)の4強。