高校の部で初出場の札幌大谷(北海道)が、甲子園101勝の龍谷大平安(京都)に6-5で競り勝ち、全国大会初勝利を挙げた。先発のエース西原健太(2年)が7回自責1と粘投。8回から2番手で登板した右横手投げの太田流星(2年)が2回無安打無失点で締め、勝利を呼び込んだ。

全国初陣の札幌大谷が、甲子園で優勝、準優勝ともに4度を誇る強敵を打ち破った。船尾隆広監督(47)は「ベンチ含め、選手が気後れするどころか、モチベーション高く戦ってくれた。壁を感じさせずにやっていた。間違いなく自信になる」と喜んだ。

最後を締めたのは秋季全道大会でも優勝投手となった太田だ。6-5の9回2死二、三塁のピンチで、最後の打者を空振り三振に打ち取ると、雨空を見上げ、雄たけびを上げた。札幌大谷中3年の夏、同じ神宮で行われたリトルシニア日本選手権初戦は、ブルペンで準備している最中にチームが敗退。「2年前投げられなかったマウンドに立てて、楽しかった」と笑顔で振り返った。

“守護神”につなげる流れも万全だった。初回に相手ミスに乗じて5点を先制すると、秋全道の準決勝、決勝で2回持たずに降板していたエース西原が、5回まで1安打無失点。最高の形で太田につないだ。船尾監督は「攻撃のチームと思ってやってきたが、今日は投手陣が良かった。太田はいつも通り安定していたし、西原は今年一番の投球だった」と勝因に挙げた。

元日本代表で世界一を知る船尾監督は試合前、選手に魔法をかけた。全道制覇後、チームは課題の守備修復をテーマに掲げてきた。だが、この日の試合前、あえて同監督は「守備のミスは目をつぶる。思い切ってやってこい」と送り出した。結果は5失策。6回に失策絡みで4失点し1点差に詰め寄られても、その裏に1点を返した。失敗してもへこむことなく攻撃の手を繰り出し、逃げ切った。

2年前のリトルシニア日本選手権で敗れた神宮の地で“雪辱”。西原は「みんなでここに戻ってきて勝てた。次も目の前の一戦に集中したい」。無印の札幌大谷が1歩ずつ、上を目指していく。【永野高輔】

◆北海道代表の対近畿代表成績 札幌大谷の勝利で通算2勝4敗となった。初対戦は87年1回戦で、函館有斗(現函館大有斗)が明石(兵庫)に4-11で敗戦。初白星は12年1回戦で、北照が3-1で京都翔英(京都)に勝利している。大阪勢に3戦3敗だが、京都勢に2戦2勝。