第91回センバツ高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の選考委員会が25日、大阪市内の毎日新聞大阪本社・オーバルホールで行われた。21世紀枠出場校には、石岡一(関東・茨城)、富岡西(四国・徳島)、熊本西(九州・熊本)の3校が選ばれた。

石岡一は農学校を母体に開校し部員は普通科、造園科、園芸科のいずれかで学習する。放課後の課外授業や農場実習で部員がそろわないなか、異なる授業終了時間に応じてウオーミングアップを行うなど、工夫を重ねる。大学進学率とは違った、農業を通じた「新しい形の文武両道を示す可能性がある」と評価された。昨秋は県4強。

富岡西は、所在地の徳島・阿南市に「野球のまち推進課」という全国唯一の野球を通じた地域活性化を目指す担当課があるなど、野球熱が高い。還暦野球や少年野球の大会も盛んに行われ、15年春にセンバツを制覇した敦賀気比(福井)ら、北信越のセンバツ代表校の直前合宿受け入れも行っている。人口減少が続く同市で「野球を通じた町づくり」を進める上で、1896年創立の地域密着型の同校が重要な役割を果たしており、また過去2回に21世紀枠の四国地区候補校に選ばれていることも、有意義な取り組みが継続されていることを示すと評価された。昨秋は県3位、四国大会4強。

熊本西は、地元中学の軟式野球部出身者のみで構成し、昨秋県大会準優勝、九州大会8強と好成績をおさめた。部内に部室管理班、ネット管理班、天気掌握班、野球普及・地域活性化班などユニークな班編成を組み、個々の部員が練習の効率化や部の運営に自主的に関わっている。また、園児にティーボールを教えるイベントや地域の清掃活動を企画、運営していることも評価された。選手たちは中学生だった16年4月に起こった熊本地震で被災。大半が避難生活を送りながらボランティア活動を行うなど困難克服に努めた。

また熊本西は昨年11月の練習試合中に、当時2年生の外野手が後頭部死球を受けて、外傷性くも膜下出血で亡くなった。悲しみを乗り越えてのセンバツ初出場となる。