今年最初の対外試合で存在感を見せた。日刊スポーツの新企画「ドラフト候補生全員!? 会いに行きます」。第5回は桐蔭学園(神奈川)の主将・森敬斗内野手(2年)だ。走攻守そろうプロ注目の逸材は、11日の二松学舎大付(東京)との練習試合(桐蔭学園グラウンド)に3番遊撃で出場。第1打席に19年初スイングで先制3ランを放った。センバツへ向け、視界良好だ。

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森は、練習試合という機会を存分に利用した。初回無死一、二塁で最初の打席が回ってきた。死球、四球、自分にも2球連続ボールと苦しむ相手右投手の心理を読んだ。「2ボールの後。キャッチャーも『ストライクを入れてこい』と言っていた。ストライクを取りに、直球が来ると思いました」と読んだ。3球目の低め真っすぐを、体重を乗せ振り切った。右越えに放り込む高校通算9号。「芯ではなかった」が、きれいな放物線だった。 

読みは、次の打席でも的中した。3回先頭で「最初の打席で直球を打ったので、厳しめの変化球に張りました」。初球、見逃せばボールの低めスライダーを捉え、中越え二塁打とした。犠打と暴投で4点目のホームを踏んだ。4回の第3打席は左投手から四球を選び、三たび生還。全てが内容のある打席だった。

実は、読みよりも反応で打つタイプだという。「チャレンジしようと。良い投手と当たれば反応が遅れる。割り切ってやりました」とセンバツ本番を前に、あえて異なるスタイルで臨み、結果を出した。片桐健一監督(45)は「森の1発から、つなぐ攻撃ができた」と、四球や足も絡めて8安打13得点に目を細めた。

目標の選手を問われると、少し迷って「(ロッテ)鈴木大地さん」と桐蔭学園OBの名を挙げた。真摯(しんし)な人間性にひかれるが、「偉大な先輩ばかり。目標は全員です」と付け加えた。逆方向への当たりは高橋由伸、がむしゃらさは平野恵一、強いスイングは茂木栄五郎。TOINの系譜に続くべく、甲子園で暴れる。【古川真弥】