道勢8年ぶりの春1発で秋春連覇へ弾みをつける。第91回選抜高校野球(甲子園)に初出場する札幌大谷が24日、第3試合で米子東(鳥取)と対戦する。

チームNO・1の19打点を誇る主砲、石鳥亮中堅手(3年)は、優勝した昨秋の明治神宮大会では果たせなかった全国舞台での本塁打を狙う。センバツでは、11年の北海・川越誠司(現西武)以来8年ぶり20本目となるアーチで流れを呼び込み、甲子園初勝利につなげる。

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聖地で豪快な1発を放り込む。この日の石鳥は、開会式に参加後、兵庫・西宮市内のグラウンドでフリー打撃に臨み、柵越え4発。「フリー打撃で振りが少し大回りしていたので、トス打撃で修正した。やるべきことはすべてやった」。全身に手応えを感じ、最終調整を終えると、初戦に向け「まずは自分のスイングをする。その延長線上に本塁打が出れば」と、聖地での1号を目標に掲げた。

昨秋の明治神宮大会は主砲として、16打数5安打2打点を挙げ初優勝に導いた。長打も二塁打3本を放ったが、納得はいかなかった。北海道に凱旋(がいせん)直後「理想のスイングで打てなくて素直に喜べない。来春までに全国で大きいのが打てるようになりたい」と、甲子園での雪辱弾を宣言。冬場の成長を披露する時が、ついに来た。

聖地でアーチを掛けるため、ここまで全力で「脱力タイム」を追求してきた。趣味は、プロ打者の動画を見て研究すること。和歌山合宿中は宿舎がWi-Fi(ワイファイ)環境ではなく見られなかったが、18日の大阪入り後はチェックが可能になった。最も重点的に見るのが西武中村剛也だ。「構えたときの脱力具合を頭に焼き付けたかった」。洗練された、リラックスしたフォームから無駄なくバットを出し、より遠くへボールを飛ばす。

センバツは、冬場に実戦で投手と対戦する機会が少なく「投高打低」と言われる。雪国北海道のハンディーを乗り越えセンバツ弾を放った選手は、最近では10年の北照又野、11年の北海川越と、いずれも、その後プロ入りを果たした。「将来は自分もプロでプレーしたい。そのためにできることをすべて全力でやってきた。これからもその姿勢は変えない」。多くのスカウトが集まる大舞台で、能力を最大限アピールし秋春連覇、そして自らの夢を切り開いていく。【永野高輔】

◆道勢のセンバツでの本塁打 54年に北海の堀田薫が熊本工との準々決勝で放ったのが春1号。最近では、10年北照の又野智弥が1回戦の秋田商戦、11年北海の川越誠司が1回戦の創志学園(岡山)戦で打った。春は計19本、夏は16年準々決勝の聖光学院戦で2戦連発を記録した北海の川村友斗まで計63本出ている。

○…札幌大谷の船尾隆広監督(47)が、右横手投げの太田流星投手(3年)の先発を示唆した。「ここまで1番調子がいい投手でいきたい。ブルペンを見て、太田の調子の良さを感じた。あとは打線がフォローしてくれれば」と話した。太田自身はブルペンで約20球投げ込み、臨戦態勢を整えた。「まだ誰が投げるか分からないが、任せられたら、しっかり自分の役目を果たしたい」と意気込んだ。