春季関東大会がにぎわっている。埼玉県高野連が制作した大会パンフレットも、用意した5000部が大会2日目の19日ですでに完売するほどの盛況だ。

関係者受付に1部だけ残っていた桜色のパンフレットを見せてもらった。絶景として名高い、秩父・羊山公園の芝桜の写真が目に飛び込んでくる。「春の大会は風景写真が多いので。埼玉の風景、と考えていくつか候補があって、シーズンも考えて選びました」と岡村健二理事(51=熊谷高)は話す。

パンフレットは手作りだ。4月末の早朝4時、岡村理事は熊谷市の自宅を出発。5時50分には羊山公園に着いた。「自分の目で実際に見たかったです。それに人がいない写真のほうがいいかなと思いまして」と練習試合前に撮影に向かった。「でも朝日の位置がまだ低くて、桜の色が出なかった。霜で光ったりもして」と、自身で撮影した写真の表紙起用は断念。最終的には秩父観光協会に写真提供を依頼したが、フットワークの軽さは特筆ものだ。

夏には「真夏の球宴」と題された、約100ページの埼玉大会冊子が毎年発売される。神谷進常務理事(55=上尾高)は「去年で40号。私が現役の時からありました」という年季もので、かつては100数十校の選手名簿をすべて手書きで編集していたこともあるという。使う写真も全て高野連理事の撮影。岡村理事ら数人の理事が、報道陣に交じってプレー写真を撮影している姿をよく見る。

今夏の「真夏の球宴」は今井真一理事(53=朝霞高)が編集長を務める。「この夏は101回大会。高校野球200年構想をテーマに、子どもたちに野球の楽しさを伝えることも内容に入れようと思っています」と、すでに編集作業に入っている。高校球児は、見えないところで大人たちに支えられている。【金子真仁】