今春、作新学院に勝利した県立の雄、栃木工は、16日の初戦で宇都宮工と足利の勝者と戦う。主将の増田尊内野手(3年)は「やるぞ、と言う気持ちです」と気を引き締めた。

昨年6月、練習試合で左足前十字靱帯(じんたい)を損傷。激痛が走り「終わったなと思いました」。10カ月にも及ぶリハビリの間、病院の個室は部員であふれかえった。「自分が出場できない中で活躍する選手がいた。焦る心を抑えながら治すことを最優先にしました」。

いない間、改めて増田の存在感を実感した。佐藤隼平内野手(3年)は主将代理を努めたが、「自分が引っ張るというより、みんなで増田の穴をフォローし合うと勝手に思いこんでいて、みんながついてこなかった。増田の場合は、1人でみんなが意見を言い合える環境を作ってくれる」と主将の偉大さを知った。

エース古内大陽投手(3年)は「増田は引っ張ってくれて責任感がある。いるだけで安心感があり、自分がマウンドにいる時にも声をかけてくれる」と話した。

今春県大会は、増田が途中でベンチに復帰し、チームは準優勝した。増田が本格的に復帰しさらにチームは勢いづく。「甲子園は絶対に行く。どんな勝ち方でも、どんな形でも点数をとりたい」頼れるキャプテンを先頭に夢の聖地へ駆け抜ける。【佐藤勝亮】