気合満点のキャプテンに導かれ、東洋大牛久(茨城)が初戦を突破した。主将の井田盛太郎内野手(3年)が4安打2打点の大活躍。千葉県勝浦市出身。同郷の巨人丸を尊敬し、大会直前も丸の両親が経営する理髪店で髪を刈り込んだ。“丸カット”の主将が、茨城に旋風を巻き起こす。

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気合の“丸カット”とバットで、井田がチームをけん引した。4打数4安打2打点。7回には勝ち越しのホームを踏み、逆転勝利を呼び込んだ。試合後、歓喜の井田は「カットのおかげで力がみなぎりました。丸さん、ありがとー!」と、球場の通路で絶叫した。

井田が叫んだ「丸さん」とは? 

学校の最寄り駅、牛久駅から電車を乗り継いで3時間。千葉県勝浦市が井田の故郷だ。勝浦の有名人といえば巨人丸がいる。

井田は、その丸の両親が営む「カットサロンまる」(千葉県勝浦市)を愛用している。入学を機に牛久市内での1人暮らしを選択。苦労したのが髪の毛のカットだった。「自分ですると気持ち乗らない」と、モヤモヤした精神状態が打撃や守備に悪影響を与えた。プロに頼る決断をした。

選んだのが地元のヒーローを生んだ名店だ。そう簡単には帰れる距離ではないが「気合と野球の技術的な助言が欲しい時に向かいます。燃えます」と、ここ一番で使う。3年夏、最後の大会前にも勝浦へ。初戦に理想の2~3ミリに伸びるように五厘刈りを注文した。そのかいあってか? 見事な固め打ち。4安打目を放った一塁上で「よっしゃー!」と絶叫した。

そんな井田には、実はもう1つ隠し玉がある。牛久市内で高齢の夫婦が営む理髪店「ヘアサロン鈴木」である。「1人暮らししているので、寂しくなる時がある。牛久のお父さん、お母さんです」と、不安に駆られた時に足を運ぶ。

次戦は12日に多賀との試合が決定した。「次は、どちらで行くか考え中です」。2つの“神理髪店”とともに“ノビノビ野球”で夏の頂を目指す。【倉田祥太】

◆井田盛太郎(いだ・せいたろう)2001年(平13)7月12日、千葉県勝浦市生まれ。小1で野球を始める。市原ポニーではアジア大会ベスト4。趣味はディズニー映画の映画観賞。試合前は験担ぎでトイレットペーパーを折る。家族は両親。180センチ。73キロ。右投げ右打ち。