プロ野球選手とアパレル社長の二刀流を目指した夏が終わった。

藤代(茨城)の中山航投手(3年)は、今大会初登板で強力霞ケ浦打線を9回無失点に抑えた。

延長10回にサヨナラ打を許したものの“県内屈指の好投手”との評価を裏切らない圧巻の投球を見せた。中山は、「調子は良くなかった。0で抑えてはいたが、最後は…」と大粒の涙を流した。

中山の持ち味は、最速144キロのキレのある速球だ。好投手の指針の1つとされているボールの回転数でプロの平均(1分間に)が2300回転という中、中山は2200回転。「いつかは、プロのステージに立ちたい」と、夢を話す。この日も、最速140キロのノビのある直球で8つの三振を奪い、同高4度目の甲子園を目指した。菊地一郎監督(49)も「このチームは中山に何度も何度も救ってもらった。感謝しかない」とエースをねぎらった。

中山には、大切にしている趣味がある。「服が大好きで、物(服)を作りたいんです」とアパレルブランドの立ち上げをもくろむ。

休日は東京・表参道に出向き、好みの服や斬新なデザインの勉強を欠かさない。「人とかぶることが嫌いで、型にはまりたくない」と話し、ZOZOTOWNを運営する前澤友作氏をリスペクトしている。

選手としての着こなしにもこだわりがある。「アンダーシャツは丸首でバットは金色です」と語り、絶対にハイネックデザインの物は着用しない。

「最終的には、プロ野球選手か経営者を選べるような立場の人になっていたい。そのために今を一生懸命頑張ります」。藤代のおしゃれ番長は次のステージでの飛躍を誓った。【倉田祥太】