春準優勝の伝統校、郡山が天理に敗れ、3回戦で姿を消した。

先発のマウンドを託されたのは背番号10の築山昌栄投手(3年)。ところが初回、先制を許すと相手の7番川端考希外野手(3年)に左越えの3ランを浴び5失点。「気負ってしまい自分の投球ができなかった」と悔しさをにじませた。打線もわずか1得点と封じ込まれ完敗を喫した。

今春から同校を指揮する生島秀峰監督(61)。「野球の技術は何一つ教えていない」という指揮官は人間的な成長を選手たちに促してきた。試合当日の早朝、選手たちが球場周辺をゴミ拾いする姿があった。試合終了後、天理高校の選手たちが校歌を歌い、スタンドへ向かう中、郡山ナインは試合に勝利した天理高校をたたえ、拍手を送っていた。そんな選手たちがそろって口にする言葉がある。「他喜力」。他人を喜ばせる力という意味だという。池田健太内野手(主将=3年)は「周りの人から応援されるチームになることを目標にしてきた。そのために野球以外のことでも一生懸命やってきた」と振り返る。

甲子園に行くことだけが高校野球じゃない。郡山の選手たちは人として最も大切なことを高校野球から学んだはずだ。【山崎健太】