やっぱり作新学院(栃木)は強かった。18安打15得点。秋春Vの佐野日大との“天王山”を8回コールドで圧勝した。

先発した林勇成投手(3年)が初回に3点を失うも、その裏石井巧内野手(3年)の逆転3点適時三塁打で一気に勝ち越し、流れを渡さなかった。

石井は初回の守備位置で審判に「よろしくお願いします」と一礼を忘れない。遠征に行った際、小針崇宏監督(36)から「いろんな人の協力があるから、ここで野球ができているんだぞ」と言われている。

「『甲子園は8割くらい人間性で勝敗が決まっている』と監督がいつも言います」。監督の教えをまっすぐ受け取るキャプテンは「ここで野球をやる以上は『人間形成』が1つの大きな目標」と語る。甲子園で勝つためには「良い人間、強い人間にならないとだめ」と考える。

石井には、はっきりとした「やりたい野球」がある。投手なら「何も考えない速い球より、120キロをいろんな思いを込めて、詰まらせてアウト取る」。打者ならば「かっこよく打ってふわーんと上げるとか『そんな野球はやりたくない』」。石井は「どんな詰まり方、打ち方でも『外野前、内野の間を抜けるんだ』という思いを込めた、そんな野球をやりたい」。

この日は二塁打、三塁打を含む4打席で出塁した。しかし「まだまだな野球でした」と謙遜する。次戦は「自分たちは間違いなく挑戦者。闘争心を前面に出していく」と意気込んだ。【佐藤勝亮】