名将からバトンを受けた新指揮官が初陣を飾った。一関学院が高橋滋監督(47)就任後初の公式戦を25-0の5回コールドで圧勝した。

14安打13四死球で着実に加点し、投手陣は継投で被安打1に抑えた。春夏合わせて6度の甲子園に導いた沼田尚志前監督(60)が、今夏の岩手大会を最後に勇退し顧問に就いた。コーチ、部長として前監督を支えた高橋新監督が先頭に立ち、再び甲子園を目指す。

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新チーム初戦から打線が活発につながった。初回、四死球で走者をためて暴投で先制すると、その後7安打など打者14人の猛攻で10得点を先取。一気に畳み掛けた。さらに3回、2安打ながら7四死球を絡め、再び打者一巡で9得点を奪った。投げては先発の佐藤弘平、2番手の及川稜太(ともに2年)が最終回となった5回1死まで安打を許さず、1安打1死球と危なげなかった。

伝統の堅守に加え、新チームは攻撃力が売りだ。(1)狙い球を絞る(2)積極的な走塁(3)球際で強さを発揮など、高橋監督は「自分たちがやってきたことを試合で出したい」。25得点の大勝発進にも「相手の四死球、守備の乱れでたまたま点が取れた。打撃は雑だった」と納得はしていない。今夏の岩手大会は、準々決勝で花巻東に屈したが、その試合にスタメン出場した2年生4人が新チームでも躍動した。「沼田前監督が夏まで鍛え上げた選手がいるのは心強い。築き上げてくれたものを継承し、新しい学院の野球を見せたい」と意気込む。

2年生レギュラーとして夏を経験した主将の佐藤颯弥内野手は「試合慣れしているのは大きい」と4打点と暴れてみせた。高橋監督の初陣については「部長としてベンチにいたので、あまり実感はない」。試合前にはナインの前で「監督の采配をしっかり理解して、一体となって戦おう」と鼓舞した。まずは一戦必勝。県大会、地元岩手開催の東北大会を制し、11月の明治神宮大会出場を目指す。“新生”一関学院が目標へ向け好スタートを切った。【山田愛斗】