カナノウに吉田あり! 金足農の「2番遊撃」吉田重人(じゅうと)内野手(2年)が同点に追いついた8回裏2死満塁から一塁線を破る2点適時二塁打を放ち、勝ち越し。

1-4の8回に一挙5得点を奪って6-4と秋田西に逆転勝ちし、3年連続の県大会出場を決めた。18年夏の甲子園準優勝以降、今春は中央地区予選で敗退するなど苦しんでいたが、躍進へ勢いづく1勝となった。東北大会(10月11日開幕、岩手)出場権を懸けた県大会(14日開幕)の組み合わせ抽選会は、10日に行われる。

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金足農の驚異的な粘りが復活した。3点を追う8回に同点に追いつくと、2死満塁から吉田がカウント1-2と追い込まれても、外角直球に食らいついた。一塁線を破り、右翼線への適時二塁打。殊勲の決勝打に「前の打席にチャンスで打てなかったので、絶対に打ちたい気持ちでした。カナノウの吉田といえば(日本ハム吉田)輝星さんが思い浮かぶ人だと思うので、名前に負けないように頑張りたい」。憧れの先輩と同じような笑顔を見せた。

お家芸の機動力も披露した。1回に犠打を決めて同点打を導くと、5回にも犠打で好機を広げた。甲子園準優勝メンバーを間近で感じ、最後まで諦めない心や、1つのミスを全員でカバーする姿勢を学んできた。「自分たちはチャレンジャー。能力は高くないので、つなぎの野球が大事になる。自分も2番打者としてバントで送ったり、粘って塁に出たい」。チーム3犠打や9四死球の積み重ねが結実。「県大会でも我慢して1点ずつ取っていきたいと思います」と誓った。

吉田には金足農で90年春センバツに出場した父重孝さんを超える目標もある。「自分もセンバツに出た父の記録を超えたい。そのためにカナノウを選びました」。父や吉田輝星ら先輩たちの背中を追い、雑草魂を宿らせる。先発登板したエース右腕・山形琉唯(1年)は毎回安打を許しても完投。新チーム公式戦初戦だった地区1回戦で秋田に1-8と完敗発進も、連勝での県切符獲得で“旋風”のきっかけはつかんだ。【鎌田直秀】