来春センバツを目指す70チーム(82校)の戦いが13日、始まった。

夏の準優勝校・東京学館新潟は1回戦で新発田南と対戦。7回コールド、8-0で破った。3番小柳敦主将(2年)が3安打3打点と活躍すると、投手陣は3投手による無安打で無失点のリレーで投打に圧倒した。勢いをつけ2回戦(16日)、夏王者・日本文理戦に臨む。

14日は試合がなく、2回戦は15、16日に行われる。

   ◇   ◇   ◇

東京学館新潟の大量得点の火付け役は主将小柳の一打だった。初回1死二塁。中越え打を放つと一気に三塁を狙う。中継に入った新発田南遊撃手の悪送球を誘い、小柳は一気に本塁へ生還。好打に積極走塁は、打線に勢いをもたらした。

痛みも乗り越えた。4回の守備だった。一塁手としてけん制球を捕球しようとした際にボールが右手薬指を直撃。爪部分が内出血を起こし、一時ベンチへと引き揚げ、治療を受けるほど。患部にテープを巻いて出場を続けた小柳は6回にはこの日3安打目となる左前適時打を放った。「痛みは打撃に影響しなかった」と精神的なタフさも備えた主将がチームを引っ張った。

今夏決勝で日本文理に敗れた後、3年生も含めた部員の推薦を受け、主将に就任した。「キャプテンなんだから、やってもらわなければ困る」。長谷和昭監督(58)からの熱い言葉を受けながらナインをまとめる小柳は「自分の成績より、まずはチームとしてどうするかを考えて試合に臨んでいる」と話す。

昨秋に初めてベンチ入りしたが、春、夏はベンチ外だった。夏決勝まで勝ち上がった喜びも、そこで味わった悔しさもすべてスタンドで味わった。主将としてグラウンドに立つ今秋、常に「チーム第一」を頭に置くのは、自分がいた応援席の仲間の存在を忘れないからだ。

次戦、16日の2回戦の相手は日本文理。チーム結成後、「打倒文理」を合言葉に練習を続けてきたチームがリベンジの大一番に臨む。【山岸章利】

○…東京学館新潟のエース高橋駿(2年)が5回を無安打2四球に抑える圧巻の内容。「ブルペンでは良くなかった」も、カーブ、直球を低めに制球し、早めに打たせることで凡打の山を築いた。その後、6回を高瀬、7回を南波がそれぞれ3人で抑え、7回参考ながら3投手による無安打無得点リレーを達成。高橋は「悪いながらも修正できた結果」と笑顔を見せつつ「次の日本文理は、こうはいかない。甘くなったらやられるので厳しいコースを徹底したい」と気を引き締めた。